episode24 ページ25
あの日から私は毎日通っていた学校の自習室に通うのをやめた。残りの夏休みは大人しく家で勉強している。
理由は単純で、侑くんと顔を合わせるのが気まずくなったから。花火大会の思い出は、今振り返っても苦くて。だからあの日以来、侑くんには会っていなかった。
ただ、そうとも言っていられない日がやって来た。
8月下旬、全国高等学校総合体育大会
通称インターハイが幕を開けた。
もともとバレー観戦は好きだったけれど、稲荷崎の公式戦を見に来るのは今回が初めてだった。
強豪と呼ばれるだけあって吹奏楽部の演奏や、学校からの送迎のシャトルバスなど、充実したサポートに感心する。
「Aが来てくれるとは思わんかったわ」
「ついに北信介の晴れ舞台が見れる時やで…！気張りや！！」
騒ぐ友人2人はバレー部のファンらしく、ずっと前から応援常連客のようだ。
吹奏楽部の演奏と、会場独特の雰囲気に胸を高鳴らせる一方で。
((ほら見てみ、侑くんの彼女って噂の3年生や))
((九条A、まあ確かに美人やけど…))
((でも試合で見るの初めてやし、絶対にミーハーやであの人。調子乗っとるんとちゃう？))
相変わらずの噂話に溜息を着く。特に侑くんのファンからの視線は冷たいもので鬱陶しい。何も面倒事が起きない事を願う。
稲荷崎の初戦は昼からで
人が多いこの時間、騒がしい会場と賑やかな吹奏楽部の演奏。他校からの視線も集まる彼らの試合はどうやら侑くんのサーブから始まるようで。
公式戦の侑くん、月バリでしか見たことないなーと呑気なことを考えていたのも束の間。
侑くんが拳を握った合図と同時に
一瞬で会場の音が全て消えた。
止まる演奏、止まる声援
試合中の隣コートの選手でさえ思わずコチラを見てしまう程の"静寂"に鳥肌が立つ。
高く上がったサーブトスをこの会場の全ての人が見ていた。ドッという重い音が聞こえたかと思えば、そのボールは瞬く間に相手コートのライン上に叩きつけられる。
サービスエース、ってやつ。
再び湧き上がる会場と、それでも消えない緊張の雰囲気。
急に静かになる現象を「天使が通った」と言ったりするけれど、侑くんの場合「悪魔が通った」とでも言うのだろうか。
稲荷崎の初戦は見事、ストレートで勝ち進んだ。
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いすみ(プロフ) - し、しんどい…！！😭😭つらい…！😭😭😭😭心臓ギュォオオオンなりました🥲3人の気持ちがわかるからこそなおのことつらい…！幸せになってくれ………！！！恋路も作者様も応援しております！！！！！！！ (4月20日 17時) (
レス) @page45 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 続き楽しみにしてます！ (4月9日 22時) (レス) @page44 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - えええええええええええええ！？！？めっちゃ気になります！！一気読みしてしまいました！どんどん続きが気になって寝る時間が遅くなるばかりですｗ文化祭辛！どっちとくっついても文句はありませんっ！あとたこ焼き北さん可愛いです！ (4月8日 23時) (レス) @page44 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
さおり - 続き出るの楽しみにしてます、、、！読み終わって発狂しました、もう誰のポジでも切なすぎてもう！！！！欲張りなのでどっちのエンドも見たいなとか思っちゃったりしました、とても面白かったです！！ (4月8日 22時) (レス) @page44 id: 9038e3f6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きつね - お恥ずかしながら最近になってこのお話を見つけました。最初は軽い気持ちでページを開いたのですが、いつの間にか引き込まれていました。涙も出ました。文字通り胸が締め付けられる、酸っぱい片思いをこんな綺麗に書かれていて本当尊敬しかないです。ずっと大好きです。 (12月13日 13時) (レス) id: 47a5037dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もちねこ | 作成日時：2020年4月24日 20時
