【宮侑】後輩に恋路を邪魔される【北信介】

episode20 ページ21

私がまた侑くんを探しに行こうとした時、引き止めたのは北くんだった。









「1人で行動するのは危ないから辞めとき、さっきみたいな輩は仰山おるで。

俺も一緒に探したるから一旦落ち着きや」







北くんの判断は冷静で正しかった。確かに、変な人たちに絡まれるのはもう御免だし、一緒に探した方が効率が良い。







侑くんが尾白くんと合流している可能性も無くはない。そう思って一緒に探していれば、北くんのスマホに連絡が来た。












「……アランが侑見つけたらしい。屋台の方、行って合流しよか」



『本当に！？良かったぁぁ！』









やっぱり北くんと一緒に探してて良かった。これで人形焼も一緒に食べれるし、後は一緒に最後まで見て楽しんで帰るだけだ。









そう、安心しきっていた。



























バァァァン、という特別大きな打ち上げ音と共に観客から歓声が上がった。


主に女性の黄色い声だった。


















何かと思って

北くんと一緒に空を見上げてみれば













































"この大きいハートを一緒に見たカップルは永久不滅らしいで"



































ドキッとした。

























侑くんの顔が、脳裏を過ぎった。


















視界いっぱいに広がる花火は、間違いなく侑くんに見せてもらったパンフレットの、あの大きなハート型の花火で。













私の隣で一緒にそれを見ているのは、私が2年生からずっと想いを寄せている北くんで。































そもそも私達はカップルじゃない。


私はジンクスなんて信じるタイプじゃない。





その発言を撤回する気はない。



















だからこそ、






















"Aさんが信じてなくても俺が勝手に信じとるからええの！"






















私がそうゆうのを気にしない、

信じないタイプだからこそ









今日は侑くんと一緒に見てあげようかなって、そう思っていたのに。































普段なら喜んでいるはずの

私の心の中はグチャグチャで
























「九条、どないしたん……？」




『……大丈夫、何でもないよ』









何故か目に涙が溜まって、零れそうになる。









侑くんのバカ、何でこのタイミングで居ないの！


と悪態をついてももう遅いのだ。

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