episode40 ページ41
ベンチに座る彼女たちの顔を見れば、私の声が聞こえたのは一目瞭然。
「…何なん、急に喧嘩売ってきて」
数人に睨みつけられて、正直怖い。
そもそも喧嘩なんてしたことも無い私が喧嘩を売ってしまった時点で、ほぼ負け確定。
それでも、言い返してやりたかった。
譲りたくない喧嘩だった。
『…思ったこと言っただけだよ』
「は?宮侑のこと庇ってるん?アイツは人の気持ちも理解できんクズ男やで。
人のこと見下しとるんはアイツやろ、文句言われてもしゃあないで」
被害妄想と、信憑性のない噂話に流されて、本当の侑くんを理解しようともしない彼女たちに腹が立った。
侑くんが傷ついている事なんて知ろうともせず、自分たちだけが被害者であるように振る舞う彼女たちが許せなかった。
言いたいことが山ほどあって、全部全部ぶつけてやろうと思って、
"あなた達が侑くんを語らないで_______"
でも…その言葉は遮られた。
背後から手を引いて、私を背中の後ろに隠すと
北くんは女子生徒達に向かって言った。
「今の九条の言葉、聞かなかったことにしてくれへん?」
『……え?』
何、その言い方……?
それじゃあまるで
私が間違ってるみたいじゃん。
北くんは私の味方をしてくれると思っていた。
だって侑くんは私にとっても、北くんにとっても大事な後輩のはずで
彼女たちの会話を聞いて、北くんも不愉快そうな顔をしていたのに。
無かったことにすべき言葉は、彼女達が発した言葉のはずなのに_______
私の頭が真っ白になって、呆気にとられているうちに話が着いたのか、ベンチに座っていた女子生徒達は中庭を去った。
残されたのは北くんと、
その背中に隠れている私だけ。
「はぁ…九条も、あんなにムキになるんやな」
北くんは女子生徒達が立ち去ったのを見て、安堵のため息をついていた。
相変わらず握られたままの手は冷たかった。
「とりあえず移動しよか」
『…何で、』
次は私が北くんの言葉を遮った。
まさか、こんな日が来るなんて…
『何で、言わせてくれなかったの』
…北くんに出会ってから初めて
彼に苛立ちを感じた。
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いすみ(プロフ) - し、しんどい…!!😭😭つらい…!😭😭😭😭心臓ギュォオオオンなりました🥲3人の気持ちがわかるからこそなおのことつらい…!幸せになってくれ………!!!恋路も作者様も応援しております!!!!!!! (4月20日 17時) (レス) @page45 id: b9d4cbed9d (このIDを非表示/違反報告)
FRISK。(プロフ) - 続き楽しみにしてます! (4月9日 22時) (レス) @page44 id: 6b38b8c85b (このIDを非表示/違反報告)
赤羽 - えええええええええええええ!?!?めっちゃ気になります!!一気読みしてしまいました!どんどん続きが気になって寝る時間が遅くなるばかりですw文化祭辛!どっちとくっついても文句はありませんっ!あとたこ焼き北さん可愛いです! (4月8日 23時) (レス) @page44 id: b22b7ccd76 (このIDを非表示/違反報告)
さおり - 続き出るの楽しみにしてます、、、!読み終わって発狂しました、もう誰のポジでも切なすぎてもう!!!!欲張りなのでどっちのエンドも見たいなとか思っちゃったりしました、とても面白かったです!! (4月8日 22時) (レス) @page44 id: 9038e3f6f8 (このIDを非表示/違反報告)
きつね - お恥ずかしながら最近になってこのお話を見つけました。最初は軽い気持ちでページを開いたのですが、いつの間にか引き込まれていました。涙も出ました。文字通り胸が締め付けられる、酸っぱい片思いをこんな綺麗に書かれていて本当尊敬しかないです。ずっと大好きです。 (12月13日 13時) (レス) id: 47a5037dc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちねこ | 作成日時:2020年4月24日 20時