◎ Light Blue ページ13
〔 fk 〕
今日は冠番組の収録で、久々の10人でのお仕事。
楽しみだし、ワクワクしていたんだけど、
楽屋に入った瞬間に、いつもと違う雰囲気を察した。
静かにしくしく泣いてるAと、
心配そうに眉を下げて頭を撫でる照。
そして、Aの傍で俺に手招きをする阿部。
「ほら。A、ふっか来たよ。」
「A?ふっかに顔見せてあげて?」
「……っ、ふか、?」
「しんどかったね、俺来るまで、よく頑張ったね。」
Aは女の子だから、
俺らには分かりたくても分からない辛さがある。
人の前に立つ仕事だから、
我慢しなければいけないこともたくさんある。
この時期は更にひとりの時間が増えて、
心も不安定になっていたはず。
もう少し早く駆けつけたかったんだけどなあ。
阿部と照がみんなの輪に戻ると、普段のように騒がしい楽屋に戻った。普段通りの方がAにとっては楽だろうから。自分のせいだって、責めないようにする為にも。
「A、今は何が1番しんどい?」
「……ん、おなかと腰、いたくて。」
「薬は?」
「飲んだけど、タイミング外して、まだ効かない。」
「そっかそっか、早く効くといいんだけど。」
3人がけのソファに俺とA。
Aは横になって、俺の腿に頭を乗せている。
目の下の久間……じゃなくて、隈も酷い。
少し落ち着いて眠気が来たのかうとうとし始めたから、
目元を片手で覆うと、すぐに寝息を立て始めた。
「ふっかさん。やっぱりスケジュールの調整難しいみたいで、収録の時間はずらせないみたい。ギリギリまで寝かせてあげて。」
「めめ、ありがとう。康二も温かい飲み物ありがとな。」
「なんでふっかさんが言うん?たむちゃん用やから!」
「うるせーよ、代わりに言ったっていいだろ。」
「不服だよね、康二くん。Aちゃん独り占めずるい。」
末っ子たちには申し訳ないけど、
こういう時にAが選ぶのは俺だから。
選ばれたのは深澤でした、なんてね。
……あー、かわいい。29歳には、まだまだ見えねえわ。
俺の服がしわしわになるほどぎゅって掴まなくても、
ここにいるから、大丈夫だよ、A、だいじょーぶ。
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作者名:は む | 作成日時:2023年3月5日 3時