◎ Skin Color ページ12
〔 ab 〕
風に靡くスカート、
ふわっとした女の子らしいブラウス。
表情を隠す黒いキャスケット。
「ごめんね、A。おまたせ。」
「んーん、そんなに待ってないよ。1日お疲れさま。」
「A、今日も女の子らしくて、かわいい。」
「……照れます。あべちゃんもキャスケットだ。」
「お揃い。被ってくれてありがとう。」
Aが被っているキャスケットは、去年の誕生日に俺から個人的にプレゼントしたもの。俺が被っていたキャスケットを褒めてくれたから、同じものをプレゼントした。
今日は偶然2人ともキャスケットを被って会えたから、みんなに自慢する為にツーショット写真撮らないとなあ。
「阿部ちゃんとふたりでご飯ってあんまりないよね。」
「いつもふっかか照がいるからね。」
「今日の事は2人には内緒にしないとね?」
「えー、俺は自慢したい。ブログに載せる。」
「ブログならいっか、事後報告だし。」
「あー、今伝えたら、2人とも来るって言いそうだね。」
あざといと言われる俺の先生は、
実はAだったりする。
直接何かを教えてもらってるわけではないけど、
Aの仕草や振る舞いから学びがち。
今だって、
ナチュラルに口元に人差し指を添えて、内緒だよ、って。
Aの場合は、無意識にそれをやるから、ずるい。
「阿部ちゃんの美味しそうに食べる姿、かわいい。」
「えー、どういうこと?」
「幸せそうだし、美味しそうに食べるから。」
「いや、それに関しては、Aも一緒。」
美味しそうにもぐもぐ食べるのに、
食べ方はすごく綺麗。
何よりも、食べ終わって満たされた時の表情が
堪らなく可愛い。
お店を出て、コンビニでアイスを買って半分こ。
なんか、恋人みたいでいいなあ、なんて。
「今日は仕事終わりなのに会いに来てくれてありがとね、阿部ちゃん。元気そうで良かった。歌舞伎の稽古大変だと思うけど、無理はしないでね。」
「こちらこそありがとう。Aも無理はしないこと。あ、明日はちゃんと頭痛薬と傘持って出掛けてね。」
「お、さすが気象予報士!頼りにしてます!」
明日がどんな天気でも、
Aの心の天気が晴れでありますように。
ちなみに、Aに会えたから、
俺の心の天気は、しばらく快晴でしょう。
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作者名:は む | 作成日時:2023年3月5日 3時