普「俺の腕の中は君専用」壱 (ページ33)

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29話ページ33

花「新しい噂はどうしようか。ミサキ階段のも一緒に決めなきゃ」

貴「……」

花「A？」

貴「……」

花「Aー？あー！わかった！本当の告白じゃなくてガッカリしてるんだろ？」

貴「……」(ボロボロ

花(ギョッ…

貴「花子くんのバカ！」

ゴツン

花「いたっ」

貴「うわあああぁん！」

花「ちょっとA？」

貴「恥ずかしい…私バカみたい。こないだなんでほっぺにチューしたのよ」

花「そ、それはAが疲れてたから。暫くは怪異に襲われないようにって呪いを」

貴「紛らわしいのよ！」

花「ごめん！」

貴「私もう帰る」(トボトボ

花「ま、待って！」

貴「何よ」

花「あの…ごめん。泣かせるつもりじゃなかったんだ」

貴「……！」

帽子をとった花子くんは

初めて普通の男に見えた

それで気づいてしまった

花子くんを好きっていいながら

私は〝彼〟を何も知らない

知ろうともしなかった

犯した罪のこと

死んでしまった理由

本当の名前

そして―

ギュッ

花「泣き止むまでここにいなよ」

貴「……うん」(ドキドキ

この日この時

私は初めて

彼のことを知りたいと思った