普「俺の腕の中は君専用」壱 (ページ10)

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7話ページ10

貴「あ、危なかった……っ！！」

やっぱり鱗が

こんなの見られたら大変だもんね。ただでさえ少ない友達がもっと減っちゃうところだった

それに、人目を避けてたら旧校舎まで来ちゃった

ドスドスと私の肩をどついてくる白い物体

貴「わ、ちょっとなに」

白杖代ってこんなに暴力的なの？

めっちゃ頭ドスドスしてくるじゃん

それにしても静かだな

貴「か、帰ろっか」

でも先に鱗を何とかしなきゃ

なにか拭くもの…

あ、私はなんて運がいいの♡
あんなところに

貴「綺麗なタオル！やった！落とした人には悪いけどちょっと借りよ」

あれ？

お弁当箱？さっき誰か探してたような

貴「あっ！私のノートと教科書！」

ゴソゴソ

貴「？｣

ものおと？

貴｢…ヒッ」

ば、化け物

貴「や、やだ……」

「みたな」

貴「っ……こっち来ないで」

‘ようせいさんの姿を見てしまえば’

‘命まで盗られてしまうのです……’

花「蹴散らせ白杖代！！」

貴「きゃ」

花「Aはすぐに怪異に引っかかるよね。ダメだよ気おつけなきゃ。人なんて簡単に死んじゃうんだから」

貴「グスッ……花子くん。好き」

また助けてもらっちゃった

花「ほんと助けられてよかったぁ」

貴「うぅごめんなさい」

花「心臓止まるかと思った」

そう言って抱きしめてくれる花子くんの体は冷たいのに暖かい気がした

ボンッ

貴「いたっ……」

なんか降ってきたよ？
いきなりなんなんですか。私たちとせっかくのラブラブムードが…

貴「なにこれ？うさぎ？」

花「彼らは勿怪。現在の名は〝ようせいさん〟古くから人のそばにいて小さな盗みやイタズラをしてる怪異だよ」

貴「さっきと随分形がちがうのね」

花「勿怪はか弱くて臆病な怪異だからね。何かを攻撃する時はああやって大勢で集まって変化するんだ」

貴「それであんな風に」

花「だからこそ本来人を襲うような攻撃的な怪異じゃないんだけど……」

勿「われらもころしはしたくなかった。しかし〝はなし〟はかわってしまったのです。やむなしやむなし」

貴「はなし？」

花「噂の事だよ。大抵の怪異は噂に逆らえないんだ。噂と違う行動をする怪異はいずれこの此岸から消えちゃうからね」

貴「きえる……」

花「A……勿怪の噂を変えてあげてくれないかな？」

貴「噂を変える…」

噂を変えたら勿怪ちゃんが助かるってことよね