司「君の特等席…俺に変更しない？」肆 (ページ3)

今日:4 hit、昨日:4 hit、合計:100,702 hit

140話ページ3

頑張らなきゃっ⋯と気合いを入れたはいいものの

一体何をどうしたら⋯

貴「あれ？」

あんなとこにも望遠鏡置いてある

貴「誰もいない⋯？」

せっかくだし望遠鏡から星見て見よ

貴「わ⋯星が見える。これって⋯」

普「蠍座だよ」

貴「わっ！あまねくん⋯いたのね」

普「真ん中に赤い星が見えたでしょ？あれが蠍座で一番明るい一等星。赤色巨星のアンタレス。明るいでしょ。見える？」

貴「うん」

普「本当は双子の星なんだけど光が強すぎてこの望遠鏡じゃ傍の伴星が見えないんだ」

貴「そうなんだ⋯」

普「アンタレスの光は100倍以上も強いんだよ」

貴「そんなに？」

普「そう。としても遠い星だから太陽ほど存在感はないけど本当はすごく明るい星なんだ」

明るい⋯星

普「けど今俺たちに見えてるのは600年以上昔の光。赤色巨星は時期に寿命を迎える星だから。もしかしたら本当のアンタレスはもうとっくにないかも」

見えてるのに無いのかもしれない

それって

普「見えているのに死んでる⋯なんてなんだか幽霊みたいだね」

幽霊⋯

貴「⋯あまねくんも覗く？望遠鏡⋯」

普「ううん。俺はもういい」

貴「でも⋯綺麗だよ」

普「だからだよ。あんまり見てると行きたくなっちゃうから。もうどこにも行かないって決めたのに」

貴「！」

それって土籠先生の依代を壊した時に見た記憶の中でも言ってた⋯

普「ま、宇宙まで行くなんて無理だけどさ」

貴「⋯花子くん」

普「へ？」

貴「あまねくんって⋯やっぱり花子くんなの？」

普「いや。Aその話好きだな〜俺あまねくんだってば」

貴「⋯」(じーっ

普「⋯⋯はぁ、どんな人なの？」

貴「？」

普「花子くんとかいう⋯そんなに俺に似てるの？」

貴「⋯⋯うん。似てる。花子くんはね⋯色々めんどくさいの」

普「えっ」

貴「それにいつもセクハラしてくるし⋯すぐふざけるし」

普「そいつホントに俺に似てるの？」

そんな嫌そうな顔しなくても⋯

貴「でも、嫌いじゃ⋯ない」

私は

私は花子くんのこと⋯

貴「好きなの」

普「⋯！」

貴「ねぇ花子くん」

私は花子くんの顔を手で包む

貴「一緒に逃げよう。ほんとの世界まで！」

普「⋯！」

バッ

貴「⋯」

花子くんが私から離れる

普「な、なんで⋯⋯？」