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ずっと入院していて退屈だった日々の癒しはテレビに映る嵐の姿だった。

めちゃくちゃ輝いてて、見る人すべてを幸せにしてて・・・大きなステージを歌いながら踊りながら駆け回る姿にすげー憧れてた

いつしか、プレイルームでよく真似して踊ってみたりしてたっけ

当時、激しい運動は禁止されてたから医者には怒られたけどね

あ、でもその頃はジャニーズって知らなかったし、嵐がジャニーズであることも知らなかった。

っでそんなある日、お母さんが嵐のDVDを買ってくれてうれしくてみんなに見せたくてそれを抱えて廊下を走ってたら知らないおじさんにぶつかったの

「you、嵐好きなの？？」

おじさんはそう言った。

「僕はゆうじゃないよ？凛空って言うんだよ」

って返したのを覚えてる

それから

「うん！僕ね嵐大好きだよ！！大きくなったら嵐になりたいの」

って言ったんだ。

そしたらそのおじさんがね？

「なれるよ」

って・・・

それから3か月くらい経って退院が決まったころにお母さんが言った

「嵐になりたいの？」

って。

「うん！！」

そしたら、主治医の先生とあの時にぶつかったおじさんが病室に来た

「五十嵐凛空くんだね？？嵐にはなれないけど嵐と同じアイドル事務所に来ないか？」

そう言われた。

「うん！！！僕、嵐になる！！！」

先生からは少しでも痛みが出たり苦しくなったら休むことを条件に退院ともに俺はジャニーズに入った。

最初は思っていたよりも大変で嫌だったけど・・・

ふっかや阿部ちゃんと出会って毎日が楽しくて仕方なかった。

だけど、その時はまだ自分が周りと違うんだってことは言えなかった。

それにこの頃は、白黒の世界が当たり前だって思ってたからジャニーさんも全色盲であることは知らなかった。

でもある日、音もない、人通りもない場所の信号が赤にも関わらず俺は渡った。

そこにたまたま居合わせたジャニーさんが気づいて一枚の紙きれを持って

「これが何色かわかるかい？」

ってきいたんだ

もちろん俺は「黒」と答えていた。

本当は赤だったって。

心臓のことも目のこともジャニーさんしか知らなかったし言うつもりもなかった

10歳になったころにはもう周りとの差は一目瞭然でやっぱり俺は嵐にはなれないって気づいた

それでジャニーさんにやめたいといった。

「凛空が本気でやめたいなら止めないよ、ただ後悔はするな」

そう言った。