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「あの…」
勇気を振り絞って声をかける。
彼は、参考書から顔を上げた。
彼と目が合って、心臓が弾けそう。
「お隣、いいですか?」
「どうぞ」
優しく微笑む彼に見惚れた。
(笑うと、こんな顔するんだ)
それから、椅子を引いて、そっと彼の隣に腰を下ろす。
隣からは、再びペンを走らせる音。
チラリと覗くと、ノートに書き込まれた端麗な字。
(男の人なのに、字が綺麗だな)
(大きな手…)
私の視線に気づいた彼がこちらを見る。
(見すぎた?きもいって思われたかな…)
慌てて視線をそらす。
「なに読んでるんですか?」
「え…!」
予想外の彼からの質問に、動揺を隠せない。
内心ドギマギしながらも、本の題名を答えると、”俺、その本読んで見たかったんですよね”なんて。
また優しく笑う。
本当は全く興味のない恋愛小説。
彼のその一言で、急に読む気になれた。
「…あの」
「は、はい」
「初対面でこんなこと聞くと怪しまれるかもしれないんですけど、名前、なんて言うんですか?」
またまた彼からの予想外の問いに焦る。
”本当は初対面じゃないです、ずっと見てました。”なんて、口が裂けても言えないので大人しく自分の名前を名乗る。
「Aです。」
「Aさん、初めまして」
「そちらは?」
ずっと聴きたくて聞けなかった彼の名前。
「俺は、トミーです」
「とみぃ…」
明らかにあだ名であろう名前を口に出す。
「嘘です、トミーはあだ名みたいなもんです。」
ケラケラと笑う彼に問いかける。
「じゃあ、本当の名前は?」
「本当の名前は…次会った時に教えます。」
「だから、また来てくださいね」
「はい、来ます」
それは、彼とまた会う約束のように聞こえて、私の胸は高鳴った。
(本当はずっと見てました、なんて言えねぇ…)
P.S.
続編もよろしくお願いします!!
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榮愛 - リクエストいいですか?水溜りボンドの二人書いてもらえますか? (2018年3月28日 8時) (レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - すみれさん» 了解です!お好みのシュチュエーションなどはございますか? (2018年1月28日 17時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
すみれ - おるたなの渋ジャパ下さいぃぃぃぃい(土下座) (2018年1月28日 17時) (レス) id: b2ee1e5041 (このIDを非表示/違反報告)
花恋(プロフ) - リクエストを書いてくださりありがとうございます!大丈夫です、バッチリキュン死しましたから( ̄▽ ̄)またリクさせてくださいm(_ _)m (2017年12月19日 15時) (レス) id: eb6c37d723 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - ぴちこさん» リクエストありがとうございます!大変申し訳ないのですが、説明欄に書いてある方のみのリクエストをお受けしております。せっかくリクエスト頂いたのに、お答え出来ず大変申し訳ないです… (2017年12月17日 23時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年8月10日 5時