【YouTuber】恋の読み方【短編集】

毎日＿Naitou◎ﾘｸｴｽﾄ ページ4

「ないとー?帰るの?」

鼻歌を歌いながら身支度を始める彼に声をかける。

「明日なんもないでしょ?」
「うん、そうだけど。家にパソコン置いてきちゃったし、編集しなきゃいけないし」
「えー」

駄々をこねる私に"えー、じゃない"と冷たいないとー。

(せっかく久しぶりに会えたと思ったのに…)

玄関で靴紐を結ぶ彼の背中を見つめる。
"帰らないで"なんて可愛いことは言えないから、黙ったまま。

「じゃ、俺帰るよ」
「うん」
「そんな顔しないでよ、帰りにくいじゃん」
「………」

「Aさん?どうしたの、いつもはこんなに駄々こねないじゃん」

私の身長に合わせてかがみ込んだ彼の手が、頭に置かれる。
私にだって分からない。
でも、私もないとー不足になることはあるの。

"はあ"と小さくため息。

「Aちゃん、俺と一緒に住もうか」

何を言い出すのかと思えば、彼の口から出てきたのは同棲のお誘い。

「え」

あまりに急なものだから、私はどう反応していいか分からず、ただただ彼を見ていた。

「だから、一緒に住めば寂しくないでしょ?」
「そうだけど…」
「嫌?」
「ううん!」

私が大きく首を振ると、彼は安心したように"良かったあ〜"って。

「じゃあ、明日部屋探しに行こう」
「明日!?」
「なんもないでしょ?」
「ないけど…」

"じゃあ決まりね"って私に背中を向ける彼。

「じゃあ、おやすみ」
「おやすみ」



これからは、「おやすみ」も「おはよう」も毎日君に言えるんだ。


P.S.
ボン人.おるたなーさんリクエストありがとうございました！

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