体温計《エイジ》 ページ9
低体温の口付けで目覚めた夜は、
やけに肌寒くて、
Tシャツの袖から出ている腕を擦る。
「寒いの?」
私が寝るベッドに腰掛けた彼が、私を見る。
「うん、ちょっと」
そう答えれば、ふわり、彼の体温に包まれる。
貴方の平熱は、私の微熱だから、今日みたいな夜には丁度いい。
「人の体温って、温かいね」
「違うよ。Aの体温が高いんだよ」
「え?」
と聞き返せば、
"俺にドキドキしてるでしょ?"なんて、耳元で囁くから、擽ったくて、胸のあたりがゾワゾワする。
まだ慣れないこの感覚に、私の体温は更に上がる。
私だけからかわれるのは、なんか悔しい。
そう思って、彼の胸に耳を当てれば、
「わっ、」
「なに」
「えいちゃんの心臓ドクドクいってる」
はっきり聞こえる彼の鼓動。
多分、いつもより少し速めの鼓動。
「当たり前でしょ、好きな子のこと抱きしめてんだから。
ドキドキしないヤツいないだろ」
(好きな子…)
聞き慣れないその言葉を、頭の中でリピートする。
えいちゃんは私の好きな人。
私もえいちゃんの好きな人。
分かりきったことのはずなのに、改めて口にされると、嬉しくて、恥ずかしくて、口元が緩んじゃう。
幸い、室内は暗いから、彼に顔を見られることは無さそうだけど。
「えいちゃん、すき…」
「知ってる」
優しく、触れるだけのキスを落とした彼は、
ゆっくりと私を押し倒して、
再び唇が重なる。
漏れる吐息がやけに色っぽくて、
夢中になって行為を続ける。
肩に触れる彼の手が熱い。
体が火照る。
寒い夜は、二人寄り添ったっていいじゃないか。
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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時