検索窓
今日:11 hit、昨日:28 hit、合計:119,918 hit

サイテイ《そらちぃ》 ページ7

"ウチで飲まない?"

そう、彼からメールが入ったのはついさっき。
10時を少し回った頃だった。
こんな夜遅くに、男が女を家に呼ぶなんて、理由は決まってる。
それを私はよく分かっていた。
でも、足は彼の家へと進む。

インターホンを押せば、しばらくしてドアが開いて、"いらっしゃい"なんて。
そんな素振り全く見せないで優しく微笑むから、私はつい、見とれた。

「何飲む?」

「んー、ビールでいいよ」

冷蔵庫から缶ビールを二本出して、戻ってきた彼に"ありがとう"と、微笑めば、"いーえ"なんて笑って一本差し出す。

(あぁ、やっぱり私は、彼の笑顔には敵わないわ)

だって彼の笑った顔は、純粋無垢で、人懐っこくて、私が知ってる彼とは違うから。

(他の子には、いつもこんな顔してるのかな)

嫉妬なんて醜いから、これは嫉妬じゃないことにしよう。
冷えた缶を空ければ、プシュッと爽やかな音が耳に残る。
私達二人には、この音は似合わない。

だって…


「A」

「…ん?」

彼の腕が、私の方を掴む。
ビクリ、と肩を揺らせば、"今更緊張してるの?"なんて、いつもは見せないような笑み。

「それとも、罪悪感?」

これが、私の知ってる彼の顔。
皆が見てる彼じゃない、本当の彼は、
ずるくて、意地悪で、残酷だ。

「ねぇ、嫌だ」

顔を逸らすと、スクスクと笑い声。

(あぁ、嫌いだ。)

この笑い声が耳障りで仕方ない。

「もうやめよ、そら、彼女いるじゃん」

違う。
本当は、


(会ったら飲んで、デキそうな軽い女に見られたくない)

特に、彼には。

(でも私は、今日もまた、来てしまった。)


結局は、彼の事が好きでしかないんだ、きっと。



「男はね、好きじゃなくてもキスできるんだよ」



あぁ、本当、

今まで出会った中で、

一番、


「最低」



今日もまた、君に溺れて、堕ちる。

恋中毒《カンタ》→←_2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
251人がお気に入り
設定タグ:Youtuber , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。