【YouTuber】貴方の好きなところ【短編集】 (ページ45)

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全部君のせい《ツリメ》ゴリラさんﾘｸページ45

「はいどうも、アバンティーズのそらちぃと」

「エイジと」

「ツリメと」

「リクヲと」

「こんにちは!Aです」

カメラの前で、一人ずつ自己紹介をする。
自分の部屋、自分のカメラではないってだけで、結構緊張するものだ。
今日はお誘いをいただいて、アバンティーズとのコラボ動画撮影日。

そらくんがカメラに向かって、企画を説明し始める。

(あれ、なんか頭痛いな…)

昨日の寝不足のせいだろうか。
最初はその程度に思っていた。
しかし、オープニングを撮り終え、立ち上がろうとした瞬間、

ぐらり、目の前の視界が歪んだ。

「Aちゃん⁉」

思わず床に倒れこむ。
企画の準備をしていた手を止め、駆け寄って来た四人。

「大丈夫⁇」

「体調悪い?」

朦朧とする意識。
誰かの手がおでこに当てられたかと思えば、ふわり、体が宙に浮いた。

しばらくして目を開けると、白い天井。

「起きた?」

横には、心配そうに顔を覗き込む、

「ツリメくん…」

おのまま私は倒れて、誰かが別の部屋に運んでくれたようだ。
ハットして、起き上がる。

「撮影は…?」

「Aちゃん熱あるし、無理だよ」

「…ごめんなさい」

「謝らないで。体調悪いのは仕方ないし。」

優しく微笑む彼に見惚れた。
皆彼のことを天使と言うが、その通りだと思う。

「皆んなは?」

「今他の撮影してる」

「ツリメくんは行かなくていいの?」

「俺は平気」

「でも…」

彼の手が、頬に当てられる。

「いーの、俺はAちゃんのそばにいたいの」

「そっか」

体が熱い。
おでこも、ほっぺも、みんな熱い。

これはきっと風邪のせいなんかじゃない。
全部君のせいだ。