賞味期限《ンダホ》 ページ3
「あ、」
キッチンから彼女の声がしたから行ってみると、
「これ、賞味期限切れてる」
彼女の手にはスプーンと、賞味期限が切れているというプリン。
彼女は少し顔を顰めて、
「食べようと思ったのに〜〜」
って、頬を膨らます。
「しょうがないよ。
また買ってくればいいじゃん」
ポン、と軽く頭を撫でてやると、"うん!"っていつもの彼女だ。
その笑顔に、思わず胸が鳴る。
「ねぇ、」
彼女の口から発せられたそれに、"ん?"と返す。
「恋にも賞味期限があるの、知ってる?」
そんな話聞いたことない、と軽く首を傾げれば、"あのね"と彼女の言葉が続く。
「恋の賞味期限は、その人を好きになってから三年なんだって」
"三年"という数字。
俺が彼女を好きになってから、もうすぐ三年だ。
「恋って、プリンみたいにもう一度買うことって出来ないじゃない?」
「うん」
「だからね、その先も好きでいるためには、三年以内に、その人にもう一度恋する必要があるの」
同じ人にもう一度恋することなど、可能なのだろうか。
そんな疑問が頭に浮かんだ。
目の前にいる彼女に、Aに、もう一度恋をしなければいけない。
それは可能なのだろうか。
もし俺が、Aにもう一度恋したとしても、彼女はどうなのだろうか。
彼女は、俺にもう一度恋してくれるだろうか。
「でも安心してね。
私多分、ダホくんに毎日恋してるから」
「え?」
「私ね、ダホくんの笑顔とか、さり気ない優しさとか、ちょっとした仕草とか、貴方の全てに恋してるの」
(なんだよそれ…)
目の前で笑う君が、愛おしくて、愛おしくて、
気づいたら抱きしめていた。
"ん?"と耳元で、彼女の動揺した声が聞こえる。
ふと思い出したあの瞬間。
俺が彼女を好きになった、あの瞬間の感情が蘇る。
胸が苦しくて、愛おしくて、
「俺もっ、お前の事好きだよ。
ずっと、ずっと…」
溢れた想いは言葉に変わり、俺の口からポロポロと零れ出す。
「ありがとう」
そう呟く君に、俺は明日も恋をする。
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久しぶりの更新、失礼します。
最近更新できてなくて申し訳ないです…
更新頻度をまた戻していきますので、気長に待っていただけたら幸いです。
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クロハ(プロフ) - ありがとうございます…最高です… (2017年8月7日 14時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラ - ありがとうございます(´;ω;`) (2017年8月4日 18時) (レス) id: 874f7f8e04 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - クロハさん» わかりましたー! (2017年8月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
クロハ(プロフ) - またまた失礼します(*´-`)エイジ君で甘めなのお願いできますか? (2017年8月4日 2時) (レス) id: 6a4238f2b9 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - 翡翠さん» 本当ですか!そういっていただけて嬉しいです。これからも応援よろしくお願いします! (2017年8月1日 20時) (レス) id: 60b5c0e445 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瀬名 郁 | 作成日時:2017年4月7日 21時