rainyday《トミー》 ページ44
「あ、雨」
バイト先から出れば、予報ハズレの雨。
大粒の水滴がアスファルトに叩きつける。
(これは、当分止みそうにないな…)
今日は生憎折りたたみ傘を入れてこなかった。
小降りになるまでもう少し居させてもらうか。
そう思い、バイト先に戻ろうとしてふと、足下の水溜りに気づく。
ポタポタと垂れる雨水を弾いて、なんだか綺麗だな、なんて。
(水溜りにこんな感情抱くなんて変か)
でも、こうやって水溜りを見つければ、彼のことを思い出す。
「トミー…」
ボソリ、彼の名前を呟いてみたけど、それは見事に雨音にかき消された。
(あぁ、早く帰りたいな)
早く、貴方に会いたいな。
「Aちゃん、」
雨の中から、聞こえた声。
聞き間違えではない。
これは、確かに彼の声だった。
振り返れば、そこには愛しの貴方。
「Aちゃん、今日傘持ってかなかったから」
彼の腕には、私のモノらしき傘がぶら下がっていた。
(トミー…)
高ぶった心は止まることなく、
水溜りを踏んずけて、彼の腕の中へ。
「わっ、なんだよ」
照れ隠しの混ざる貴方の声が頭上から降る。
「トミーに会いたいなぁ、って考えてたから」
「はは、なんだよ、寂しがり屋かよ」
貴方の笑い声が耳を抜ける。
そんな声さえ愛おしくて、より一層、彼を抱きしめる力を強める。
「帰ろっか」
「うん」
一つ傘の下、繋がれた二人の手と手。
雨の日は、なんだか余計に、
貴方に会いたくなる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 306人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「短編集」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ボン人.おるたなー - あ!水溜りボンドだー!嬉C超えの嬉Dー!! (2017年8月11日 10時) (
レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - 鈴さん» そらちぃですね！！了解しました！ (2017年4月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - いつも小説見てます！ リクエストなんですけど…そらちぃでSになるやつお願いします。 (2017年4月4日 15時) (レス) id: 7693f00e69 (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - 雪丸さん» はじめくんですね！！お好みのシュチュエーションなどはありますでしょうか！？ (2017年4月4日 13時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸 - はじめしゃちょーのやつ沢山みたいです！ (2017年4月4日 13時) (レス) id: aeb3e095eb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：郁 | 作成日時：2017年2月4日 21時
