水槽の中で《カンタ》京子さん、胡桃さんﾘｸ ページ14
「もう、疲れちゃったな」
電話越しの弱々しい声に、俺の身体はすぐに動いた。
"今から行くから"
それだけ言って、電話を切る。
携帯と財布、それと家の鍵を乱雑に上着のポケットに突っ込んで、家を出た。
ここから彼女の家までは30分ほど。
割と近い距離に住んでいたことが幸して、こういう時、すぐに彼女の元へ駆けつけることが出来る。
荒い息を整えながら、彼女の家の鍵を開ける。
実は、度々夜中に彼女の家を訪ねることがあるので、この前合鍵をもらったのだ。
鈍い音と共に扉が開き、薄暗い室内が覗く。
「A」
「寛太……！」
置くから俺の名前を呼ぶ声がしたと思ったら、腰に腕を回されて、ぎゅうと抱きしめられる。
「寛太……」
弱々しい声で俺の名前を呼ぶAをそっと抱きしめてから、部屋へ上がらせてもらった。
照明が着いて、彼女がよく見えるようになると、目の周りが真っ赤に晴れているのに気づいた。
泣き腫らした後だ。
ニコニコと俺を見る表情が不自然で仕方ない。
(無理して笑う必要ないのにな)
「あのね、」
ふいに彼女が口を開いた。
俺は黙って目だけ彼女の方を見る。
「浮気…した。」
「また？」
彼女が言うのは、彼女の事でも、俺のことでもない。
彼女には、彼氏がいるのだ。
しかし、その男が浮気性なものだから、彼女はこうして泣き腫らしては俺に連絡してくる。
俺は、話を聞くだけ。
「もうやだ……
私は、彼が一番なのに。
彼がいないと生きていけないの……」
"重いでしょ？"なんて力なく笑う彼女に、"今更？"なんておどけて見せると、乾いた笑い顔。
「私ね、自分は金魚だと思うの」
「え？」
突拍子もなくそんなことを言い出すものだから、つい聞き返してしまう。
「狭い水槽に閉じ込められた金魚。
金魚は、水がないと生きていけないでしょ？」
「彼は水なの。私の生き甲斐なの。
彼がいないと私、、」
嗚咽と共に言葉を詰まらせた彼女の頭を、優しく撫でてやると、またぽろぽろと涙を流し始めた。
「そんなに辛いなら、別れればいいのに」
「俺にすれば、いいじゃん」
恥ずかしくて目を逸らす。
「寛太、こんな重い彼女と一緒にいられる？」
「無理かなー」
俺が笑ってみせると、彼女も涙のつまった瞳を細めて笑った。
「寛太、ごめんね？」
その"ごめんね"の意味が俺にはよく分かっていたけど、今はそんなこと考えたくない。
狭い水槽から彼女を出してあげるのが、俺であればいいのに。
(なんて、キモイな俺)
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ボン人.おるたなー - あ!水溜りボンドだー!嬉C超えの嬉Dー!! (2017年8月11日 10時) (
レス) id: eebcc8fec2 (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - 鈴さん» そらちぃですね！！了解しました！ (2017年4月4日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴 - いつも小説見てます！ リクエストなんですけど…そらちぃでSになるやつお願いします。 (2017年4月4日 15時) (レス) id: 7693f00e69 (このIDを非表示/違反報告)
郁(プロフ) - 雪丸さん» はじめくんですね！！お好みのシュチュエーションなどはありますでしょうか！？ (2017年4月4日 13時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
雪丸 - はじめしゃちょーのやつ沢山みたいです！ (2017年4月4日 13時) (レス) id: aeb3e095eb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：郁 | 作成日時：2017年2月4日 21時
