▽．(リクエスト) ページ26
ギターから手を離して、立ち上がる。
暗い部屋に注ぐ月明かりに誘われて、ベランダに出た。空には満天の星。
「すご……」
すっと息を吸うと、夜の澄んだ空気が肺にたまる。苦しくはない、苦しくはないはずなのに、息を吐く。それと同時に"何か"が抜けてしまったような気がして、再び吸い込んだ。
空の星達が、私に何か言いたげにこちらを見つめている。
"未来がどうとかどうでもいいとか吐き捨てて、掴んだそれは何なんだ？"
ふと、聞き覚えのある言葉が耳に響く。
つけっぱなしにしたラジオから流れ出すメロディーに耳を澄ます。私の大好きな歌だ。
「お送りしたのは、KANA-BOONの結晶星でした。はい、ということでね、こんばんわ！」
「こんばんわ、せーっの、どうも、KANA-BOONです！」
少しズレ気味の4人組、私の胸は高なった。
「あ、KANA-BOON」
ラジオを足元に置き直し、再び目線を空に戻した。
「今流れていた、"結晶星"。
この曲には何かメッセージがあるんですか？」
「はい、あります。」
質問に答えたのは、鮪くん。
「この曲は、僕の友達に向けて作ったものなんです。その友達、夢があったんですけど、上手くいってなかったみたいで、諦めかけてたんです。そんな時、僕達の音楽で何か助けになれないかって考えた時、 この曲を思いついたんです。」
そう……だったんだ。
何気なく聴いてた歌詞にそんな思いが込められてたんだ。
何だかそう思うときゅうっと胸が締め付けられて、良く分からない感情がこみ上げる。
「なるほど、夢を追いかける友達に向けて書かれた曲なんですね。
では、このラジオを聞いているリスナーに一言、お願いします。」
「えー、これを聞いている皆、夢はありますか？きっと、夢を叶えることは大変な事だと思います。僕達も、今こうやって夢を叶えることが出来たけど、夢を叶えるためには一つ大切なことがあります。」
「それは、自分を信じることです。辛いこと、悲しいこといっぱいあると思います。だけど、それは僕らも同じです。皆が頑張ってる時、僕達も頑張ってます。だから、一緒に頑張りましょう。自分を信じて、夢に向かって突き進んで行ってください！谷口鮪でした。」
ポタっと、手に水が落ちてきて、雨かなと思って空を見てみたら、輝く星達が歪んで見えた。
「よし、練習練習」
鼻水をかんで、再びギターに手を伸ばす。
"自分を信じて"
きっと、彼らも同じだ。
輝く結晶星を見つめながら、私は今日も夢を見る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アソパソマソ - 古賀さんが告白するのを読みたいです。 (2017年7月29日 12時) (
レス) id: a0dcacaca2 (このIDを非表示/違反報告)
首藤(プロフ) - リクエストありがとうございました！！文章まとまり無さすぎてすみません……読んでいただきありがとうございました！！ (2016年11月17日 19時) (レス) id: e763583aca (このIDを非表示/違反報告)
すずめ(プロフ) - リクエスト書いていただき本当にありがとうございました！とても感動しました…( ´^`° ) (2016年11月17日 18時) (レス) id: 4c26696416 (このIDを非表示/違反報告)
首藤(プロフ) - あっぷるさん» リクエスト誠にありがとうございます！書かせていただきますね！ (2016年11月13日 22時) (レス) id: e763583aca (このIDを非表示/違反報告)
あっぷる - 義勝が、彼女とデレデレしてるのを読みたいです！笑 (2016年11月13日 22時) (レス) id: 2783465865 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：郁 | 作成日時：2016年10月12日 18時
