再会 ページ10
あれからどれくらいたっただろうか。
つまらない日常は過ぎ去り、今日は待ちわびていたKEYTALKのライブ。
もう何回目かわからない彼らのライブだが、それでもまだ心臓が煩いのは、あの約束のせい?
チケットを握りしめた右手が熱い。
あの日のことを思い出すと、今でも少しドキドキする。
あれは、どういうつもりだったんだろう。
あれから、ずっと考えているけど、未だにその答えは出ていない。
「KEYTALKです、よろしくぅ!!!」
寺中さんの声とともに、熱気に包まれた小さな箱に、歓声が溢れる。
私も負けじと声を張るけど、きっと彼らには届いていないだろう。
それでもいい。ただ、目の前に彼らがいるだけで、私は充分幸せだ。
鳴り響くベースの音に、少し胸が痛むけど、そんなの気にならないくらい、熱いライブだった。
終演後、熱気の冷めないライブハウスからなんとか抜け出して、一息つく。
「Aちゃん」
どこからか名前を呼ばれて、辺りを見渡す。
パラパラと帰りはじめた観客の間から、フードを被った怪しげな人物が近づいてくる。
「…八木さん!?」
「…しっ」
幸い周りの人達は彼に気づいてないみたいで、騒ぎは起きていないが、このままだと確実にバレてしまう。
「…何やってるんですか、バレちゃいますよ」
八「こっち」
小さくそう呟くと、私の手を引いて、ライブハウスの裏へ。
「そんな無防備なカッコで出てきたら危ないじゃないですか」
八「えー、ちゃんと変装したよ?」
「フードだけじゃないですかぁ!!」
「えへへ」と笑ってフードを外した八木さん。
八「だって、早くAちゃんに会いたかったんだもん」
(天使みたいな笑顔でそんな事言われたら、何も言い返せないじゃないですか…)
こういう所、彼はずるいと思う。
八「ねっ、俺らの楽屋おいでよ」
「…えっ、でも」
八「Aちゃん連れてこいって、巨匠命令出てるから。
皆、Aちゃんに会いたがってる。」
(本当に?)
「それは、義勝さんも?」
なんて、聞けるわけもなく、「ねっ?」という彼の言葉に頷いた。
106人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かがり - すごくドキドキします! (2018年5月14日 22時) (レス) id: 54ed562f4c (このIDを非表示/違反報告)
りー - 楽しませてもらってます!! (2018年1月14日 0時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
りー - いえいえ!! (2018年1月13日 23時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - りーさん» コメントありがとうございます!!!そういったお言葉とても励みになります!!!頑張ります!!! (2018年1月3日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
りー - めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます! (2018年1月3日 15時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:郁 | 作成日時:2017年10月24日 23時