下北沢にて ページ21
井の頭線を降りて、駅前を散策する。
降り立ったのは、
そう、下北沢。
街を歩いていれば、KEYTALKのファンに一人は出会ってしまう、彼らの街と言っても過言ではない下北沢。
歩いていれば、チラチラと彼らのポスターが目に付く。
私も、そこら辺にいるファンの一人で、暇になるとつい来てしまうのだ。
別に、彼らに会えるとか、そんなことは期待していないけど、ここに来ると、なんだか胸のあたりがソワソワする。
道沿いに並ぶお店をと覗きながら、休日の昼間を潰す。そんな日もありかなって。
「…あれ?」
暖かな太陽に照らされ、ボケーとしていたら、目の前にどこか見覚えのある背中を発見。
(そんなわけないよね。日曜日のお昼なんかに…ね?)
そう思いながらも、速まる足は止まらない。
近づく背中、地面を蹴る度に胸が脈打つ。
と、前の背中が急停止。
「わっ…!?」
それでも私の足は止まらなくて、おでこから突撃。
「…った」
振り返ったその人は、そう小さく漏らした。
低くて聞き覚えのある声。
「アンタ、俺のストーカーなの?」
「…よ、義勝さん」
私を見下ろすのは、眼鏡にマスク(変装してるつもりなのだろう)の義勝さん。
「こんな所で何してるんですか?」
義「ここ、うちの近所なんだけど。いちゃ悪いかよ」
「いえ…でも、日曜だし、ただでさえ人が多いのに、騒ぎになったりしたら…」
義「あーーー、うるせぇな。
そう言うアンタも、十分野次馬だよ」
図星をつかれて、言い返せない。
「ですよね…」
義「まぁ、別にアンタなら良いけど」
「…っ!?」
不意打の嬉しすぎる言葉に、反応してしまう。
それを見て笑う、義勝さん。
街のざわめきさえも、ミュートされたかのように何も聞こえなくなって、義勝さんの笑い声だけが私の耳に届く。
「…と、とりあえず、こんな所にいて、ファンに見つかったりでもしたら、大変ですよ」
義「んー、まぁね」
義「じゃあウチ来る?」
「え?」
「だから、俺んち来るかって聞いてんの」
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かがり - すごくドキドキします! (2018年5月14日 22時) (レス) id: 54ed562f4c (このIDを非表示/違反報告)
りー - 楽しませてもらってます!! (2018年1月14日 0時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
りー - いえいえ!! (2018年1月13日 23時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
瀬名(プロフ) - りーさん» コメントありがとうございます!!!そういったお言葉とても励みになります!!!頑張ります!!! (2018年1月3日 15時) (レス) id: b502a9e7b5 (このIDを非表示/違反報告)
りー - めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます! (2018年1月3日 15時) (レス) id: 09856dbee7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:郁 | 作成日時:2017年10月24日 23時