鏡花水月

体巡りし、酔い香り ページ14

程よくアルコールが回り、会話にも花が咲く。
と、いきなり寺中さんが爆弾を投げてきた。


巨「ぶっちゃけ〜、Aちゃんは俺らの中で誰が一番好きなの〜?」


赤い頬、彼の前にはいくつもの空のグラス。
見るからに、相当酔っ払っている。
「んふふ」って不気味な笑いを浮かべながらも、私の答えを待つ寺中さん。


武「んなの、義勝に決まってんじゃーん」
八「そうだよぉ〜、何今更聞いてんだよ〜」
巨「そっか、そうだよなくそぉ…」


私と義勝さんの間に、気まずい空気が流れているのにも気付かず、三人で盛り上がっている。


「わ、私は、皆さんのことが好きですよ」


私もなんだかんだ酔ってるみたいで、勢いに任せてそんなことを口走ってしまった。
間違ったことは言っていないはずだ。
私は、KEYTALKが大好きで、KEYTALKの皆が大好きだから。


巨「ほんと〜?嬉しいな〜俺〜」
武「おい、Aちゃんにデレデレすんな」
八「気持ちわりぃ〜〜」
巨「うるせぇーーー!!」


酔っぱらいの寺中さんを宥める二人の横でつまらなそうに携帯を弄る義勝さん。
長い前髪で、顔が見えない。

今、彼は一体どんな表情をしているのだろう。



長い髪の隙間から見える耳が少し赤いのは、きっとアルコールのせいだよね。

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