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軽い沈黙の中、口を開いたのは玉森さんだった。
「お店……休んでるんですよね？」
「……はい、色々とあって。」
「心配だったから、すいません。岡村さんに無理言って家聞いちゃいました。」
奈々はなんで教えちゃったの！？
仮に、もし玉森さんが怪しい人だったら…
いや、そんな事は絶対ないはず。…たぶん。
「タメにしません？年齢とか関係なく。
Aさんがもし良いなら……」
タメってハードル高いけど…
その後の玉森さんの押しに負けちゃって結局タメに。
でも、その後以外に年齢も同じだった事を知って、なんか親近感。
最後には……
「ねぇ、タメで話してるのに玉森さんってなんか合わなくない？
ゆうたって呼んでよ。」
裕太って……無理無理
「じゃあせめて……裕太さん」
「Aちゃんだから、許す。」
さりげなく、ちゃん呼びになってるし……
なんか、私達どうしちゃったんだろうってくらい打ち解けちゃってるけど。
裕太さんを、玄関まで送る。
「今日は来てくれてありがとう。
なんか少し元気になれたかも。」
「こちらこそ。
携帯、暇な時いつでも連絡してね。」
アイドルさんの暇な時っていつ！？
そんなこんなで裕太さんを送って、ドアを閉める。
ドアを閉めた瞬間、脳裏に浮かぶ記憶。
『………っおい！！
聞こえてねぇのかよ！！
部屋の中にいるんだろ！？お前！
いい加減出てこいよ！！！
今出てこなかったらどうなるか覚えとけよ！？』
「…………っはぁ、はぁ、はぁ、
……ぅ、、うぅ、、っ、、」
ドアのノック音と一緒に蘇る怒鳴り声
刃物を向けられた時の恐怖、絶望
私の歯車を狂わせた記憶たちが、一気に蘇る
どうしよう……このままじゃ私……
「………っだれか……たす、け、て……」
最後に思い出した顔は裕太さんだった。
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作者名：ほの太 | 作成日時：2017年7月17日 16時
