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No,5 ページ6

コナン達が帰ってから約8時間

そろそろキッドが現れる時間だ

チッチッチと静かな部屋に時計の針の音が響く

A「何を楽しみにしているんだか。今日あった事も私の事も話したくなるのはなぜなの」


チッチッチ


チッチッチ


チッチッチ


……カチッ




キッド「今晩はAお嬢様…」

A「今晩は」

にこっと相手を見て笑ってみせる

キッド「今日は貴方の愛しの人について………でしたね?」

A「ええ、そうだったわね」

まず一つ目といったところか

自分の秘密を話すのは案外初めてかもしれない

A「彼はね私の生涯大切な人…」

A「彼と出会ったのは私が25歳の時、そうね江戸時代…だったかしら」

キッド「それはそれは随分と前の事ですね」

A「ええ、彼ねすっごく優しくて仕事に一生懸命で……でもね、私が原因で









殺されちゃった








それから私、一回も人を愛した事がないの」

キッド「Aさんが原因で?」

A「そう私が原因で、それでね彼、最後になんて言ったと思う?」

キッド「……………。」

A「『生まれ変わってもAに会いに来る。生まれ変わってもお前を愛すから』って」

A「一度も会いに来てくれない癖に、まだ生まれ変わってないのかもね」

なんて言って彼女はくすりと笑った

A「おかしな話でしょう?」

少しの沈黙が続く

口を開いたのはキッドだった

キッド「…………おかしな話…?……じゃあなんでお前は泣いてるんだよ…」

A「えっ……」

快斗「なんで笑いながらそんな事言えるんだよ…なんで、泣いてる事に気づかねぇんだよ」

A「やっ、やだ私ったら」

風が涙の上を通り冷たいものが頰に滲む

あの時散々泣いたのにまだ涙が枯れていないなんて

もう涙なんか出ないと思ったのに

A「久しぶりに昔話をしたせいね、きっと」

A「ねぇ怪盗さ……

Aが顔をあげた刹那、キッド…いや、快斗の声が遮った

快斗「快斗…、黒羽快斗、俺の名前だ。そう呼んでくれよ」

A「ふふっ、気が向いたらね」

キッドのモノクルにそっと手をかけ外しながら呟く

A「やっぱり……綺麗な瞳をしてらっしゃるのね」

少し顔が赤くなった事に気づきハットをぐっと深くかぶる

キッド「…それでは今日はこれで。また明日」

モノクルを掛け直すと夜の闇へと消えて行く





A「泣く必要なんてないじゃないの…。私のバカ」

Aの独り言が空虚な空へとこだました

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作者名:ほのか | 作成日時:2017年6月25日 20時

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