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「私の知っている最強はね、一切の容赦と許しを与えない存在なの。貴方は人間だから、容赦のなさはある程度あっても、どこか情があって捨てきれない。」


貴方はきっと、それを捨てられない。強すぎる力をもった人間はその力を理性的に使うか、力に溺れ狂気と化すかのどちらか。


どちらにせよ、その力を持ってしても大切な人は守ることができない。だから、私の世界では強者は吸血鬼なってしまう。


与えられる血を、猛毒だとも知らずに良薬だと信じてしまうのだ。


「貴方にはできる?愛する人が苦痛を負っている中で、周りの大多数も救うためにその人を見捨てること。」
「、、、、。」
「私には出来るわ。でも、貴方は出来ない。」


決してね。そうクララは言った。悟はいつもの陽気なその表情が仮面だったとでもいうように、無表情のまま微動だにしない。


そして、その慧眼の瞳の奥は誰よりも冷え切っていた。


「別に、私は貴方にそうしろと言いたいわけじゃないのよ。でもね、忘れてはいけないの。」
「、、、、何を?」


ふふ、とクララは笑う。そして悟の方に手をそっと置くと、より一層その距離を縮めた。クララのその牙が悟の耳に触れようとして、そして無下限で防がれる。


「貴方が彼に裏切られたその瞬間の絶望をね。」


貴方がその苦しみから逃れることはできない。悟が能力で圧倒的優位として立つには、その悔いが欠かせない。


人間として生きるのなら。


「、、、忘れたことなんてないよ。」
「あらあら、違うわ。伝わらなかったかしら。」


ああ、そうね。悟はまだ子供だもの。これぐらい分からなくても当然。クララは思ったより悟のことを子供として見ていないことに驚く。


でも、だからこそ言わなければならない。


「脳裏に焼き付けなさいと言ってるの。」
「、、っ、、、。」



彼をまだ親から離れられない子供から、老獪な大人にするために。


もう、過去の出来事に粗末な感情を揺さぶられている時間は残されていないのだと、いい加減に気づいてもらうために。


「本当は貴方のことをもっとゆっくり育てたかったけど、貴方に残された時間は少ないの。だから仕方ないわよね?貴方は悠仁達のように優しくしなくても。」


するり、と悟の頬をひと撫でするとクララは悟から離れた。そして言いたいことは言ったと言わんばかりに、そのまま部屋から出ていく。


「、、、、、、、、、。」

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Reina(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!私生活の方が忙しくて中々時間が取れなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。頑張ります! (2021年10月24日 19時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新お久しぶりです!もう更新しないのかなぁと少し不安になってましたがありがとうございます!ほんとにこの小説面白くて大好きです!無理だけはせずにこれからも頑張って下さい! (2021年10月24日 3時) (レス) @page26 id: 9bb0d4787d (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - いつも楽しく拝見させていただいております。更新を楽しみにしてお待ちしております!頑張ってください! (2021年7月18日 17時) (レス) id: e5f7c718e0 (このIDを非表示/違反報告)
Reina(プロフ) - れんさん» ありがとうございます (2021年5月25日 16時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ご対応頂きありがとうございます!これからも更新楽しみにしております。季節の変わり目ですのでお身体にはご自愛くださいませ。 (2021年5月25日 1時) (レス) id: cf8acd5d9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Reina | 作成日時:2021年2月11日 2時

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