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これは古の、何千年も昔の夢のような御伽話。



<><><><>



生きる意味って、何だろう。




私は気力もなく、寝転がりながらそんなことを思った。手も足も片方ずつ枷が嵌っていて。食事は出されるものの、十分とは言えなかった。



親は知らない。確かに私が此処にいるのだから、母親も父親もいるのだろうけど。物心ついたときには今いるこの小さな空間に閉じ込められていた。



何年閉じ込められているのかは分からないが、もう大人に近い体に私の体は成長していた。



原因は私のこの髪と目。髪が白いのは自分でもわかるが自分の瞳の色は血のように赤いらしい。



そのせいで不吉だと、この村に厄災が降りかからないようにと、そんな自分勝手な理由で私は此処に閉じ込められていた。



狭い。


暗い。


動けない。


日の当たらない、カビ臭い小さな空間。


「ああ、こんなところにいたんだね。」
「、、、、、だれ?」



ドアがきしむ音に閉じていた目をそっと開ける。外は昼の様だった。日光がドアの隙間から漏れ出て、光に慣れない自分の目は少し眩しい。



目をしぱしぱさせると、くすりと可笑しげに笑う声がする。いつも来る人とは違う気がして視線を向けると、綺麗な男とも女ともつかない人がいた。



「怖かったでしょう。もう大丈夫だよ。ほら、」



そう言って伸ばされた手。握り返すとひんやりと冷たい。どれだけ暴れても取れなかった枷をいとも簡単にその人は外すと「歩ける?」と優しく聞いてきた。



私は静かに頷くと、そのまま手を繋いで生まれて初めて外に出る。



「、、、、、あなたは、だれ?」
「、、もう少ししたら説明をするよ。少し静かにしていられるかい?」
「、うん。」



きょろきょろ、とあたりを見渡すとたくさんの人がいた。目に映る光景が私にはあまりにも新鮮で、綺麗な空気の匂いに、人々の話し声、青々とした草花。



なんて、美しいんだろう。そう、思った。

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Reina(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!私生活の方が忙しくて中々時間が取れなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。頑張ります! (2021年10月24日 19時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新お久しぶりです!もう更新しないのかなぁと少し不安になってましたがありがとうございます!ほんとにこの小説面白くて大好きです!無理だけはせずにこれからも頑張って下さい! (2021年10月24日 3時) (レス) @page26 id: 9bb0d4787d (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - いつも楽しく拝見させていただいております。更新を楽しみにしてお待ちしております!頑張ってください! (2021年7月18日 17時) (レス) id: e5f7c718e0 (このIDを非表示/違反報告)
Reina(プロフ) - れんさん» ありがとうございます (2021年5月25日 16時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ご対応頂きありがとうございます!これからも更新楽しみにしております。季節の変わり目ですのでお身体にはご自愛くださいませ。 (2021年5月25日 1時) (レス) id: cf8acd5d9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Reina | 作成日時:2021年2月11日 2時

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