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「うーん、ちょっと駄目かなぁ。」
「たかな?」
「クララはちょっと特殊だから、もうちょっと待ってて。」
「すじこいくら、、しゃけ?」
狗巻棘は前年の担任である五条悟を見つけると、袖をしっかりとつかんで連れてきていたクララを指でさしておにぎり語で事情を話し始めた。
クララからしたら何故その言葉で意思疎通が取れるのかが意味不明だが、彼は理解しているように相槌を取っている。
「いつ?って言われても、、クララの努力次第?」
「参加しないって言ってるでしょう、」
いくら断っても棘は諦める素振りすらなかった。仕舞には私をひっつかんで悟を探しに行く始末。
「つれないねぇ、」
「しゃけしゃけ。」
そうだそうだ、と言われている気がして心なしかイラッとする。私が眉間に皺を刻むと、まあまあ、と宥めるように彼に肩を叩かれる。
「棘、クララの説得は僕に任せて!ってことで時間もったいないからグラウンド戻りな。」
「しゃけー。」
棘が素直にグラウンドに戻って行くのを見届けると、私は思わずため息をついてしまう。
「何で此処の子達ってこんなに強情なのかしら。」
「呪術師は性格変わってる奴多いしね、そんなの可愛いもんだよ。」
吸血鬼も同じようなもんでしょ、と付け足しで言われまぁ、そうかもしれないとは思ってしまう。だが、大抵人間の血以外には興味を持たないのでそれ以外の事にはいい加減な者が多い。
「でも、吸血鬼にはあんなしつこい性格なのはいないわ。」
「そうなの?」
「ええ、血以外には興味が無いの。」
あるとしたら失踪中の第二始祖か、その眷属の一人。会いたくもない奴らだけど。
「もったいないね。」
「ええ。」
人間より遥に美しく、鮮明に見える目を手に入れても、人間より遥に繊細に澄んだ音が聞こえる耳を手に入れても、
それに何か感情が浮かぶことはない。人間の感覚に例えるのなら、五感がパソコンの画面に夥しい文字のように表示されて無機質に伝わってくるような。
「もう少し優秀に作って欲しかったものね。」
「あ、それってクララの親?」
そういえば、最初にあったときはあの透き通るような金髪に目を奪われたんだった。
「ね、そろそろ吸血鬼になった経緯教えてよ。」
「、、、貴方に話すことは何もないわ。」
「えー?」
甘えたような声に不快感が増す。男のそういう声は気持ち悪いだけだ。そうはっきり言うと、「酷い!」と言う情けない声が廊下に響いた。
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Reina(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!私生活の方が忙しくて中々時間が取れなかったのですが、そう言っていただけるととても嬉しいです。頑張ります! (2021年10月24日 19時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 更新お久しぶりです!もう更新しないのかなぁと少し不安になってましたがありがとうございます!ほんとにこの小説面白くて大好きです!無理だけはせずにこれからも頑張って下さい! (2021年10月24日 3時) (レス) @page26 id: 9bb0d4787d (このIDを非表示/違反報告)
金糸雀 - いつも楽しく拝見させていただいております。更新を楽しみにしてお待ちしております!頑張ってください! (2021年7月18日 17時) (レス) id: e5f7c718e0 (このIDを非表示/違反報告)
Reina(プロフ) - れんさん» ありがとうございます (2021年5月25日 16時) (レス) id: b4ccc6a785 (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - ご対応頂きありがとうございます!これからも更新楽しみにしております。季節の変わり目ですのでお身体にはご自愛くださいませ。 (2021年5月25日 1時) (レス) id: cf8acd5d9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Reina | 作成日時:2021年2月11日 2時