寝起きドッキリ 5 ページ5
美味しいケーキを食べ終わり、紅茶も残り少なくなったころ、ケトルさんが話を元に戻してくれた。
「それで、お前さんは行くところが無いのじゃな」
「はい。いつ帰られるかもわかりません…」
すると、両側の二人が再び身を乗り出して私に迫ってきた。
「なぁ、さっきの話だけど、これからがいいところなんだぞ。
Aも聞きたいだろ？」
「もっともっと話したいことがあるんだ。
A、いいでしょ？」
「これこれ、お前達。落ち着きなさい」
ケトルさんが二人の手を引いて、席に座らせた。
しかし、二人はなかなか興奮が覚めない様子だ。
ついに椅子から降りたカップヘッド君が、私の袖を引っぱってくる。
「帰るまでここに居ようぜ！見せたいものもあるし！」
同様にマグマンくんも、反対側から腕を引いてきた。
「きっとびっくりするよ！友達も紹介するから」
今までの不信感はどこへやら、今や二人は私に友好的な態度を示してくれている……一緒にいることに慣れてきたからだろう。
嬉しくて、心がじわっと満たされるのを感じる。
私はただ話を聞いていただけだが、仲良くなれるきっかけができて本当によかった。
ケトルさんに、ただただ感謝しかない。
ケトルさんは満足そうに頷くと、更に嬉しい提案をしてくれた。
「全くお前達ときたら、やむを得んわい。
…Aさんよ。
申し訳ないが、暫く二人の遊び相手を頼めるかの」
「はい！」
ここに来てから一番の笑顔で返事をした。
食器を片付けるなり、二人に手を引かれて外へ向おうとした。
すると、ケトルさんから待ったがかかる。
「Aさん、靴はあるかいの？」
「…あ」
言われて、はっとした。
今の私の服装は、完全なる寝間着なのだ。
当然、裸足だった。
そういえばケトルさんも兄弟も、皆靴を履いているではないか。
ひょっとしてここは、本来土足でいるべきところなのかも…何てこった。
私が焦っていると、なんとケトルさんは棚から靴を出してきてくれた。
「うわぁ、ありがとうございます」
救世主とは、正にこのような人だと痛感した。
サイズが合うのか正直不安だったが、不思議とピッタリだった。
話によると、若い頃に購入した靴だという。
自分には大きすぎたので、ずっと保管してあったのだそうだ。
何から何までお世話になりっぱなしだ。
…全部、都合の良い夢なのだろうけど。
「いってきまーす！」
皆で元気に声を揃え、ケトルさんに告げる。
あぁ、夢でなきゃいいのに…
初めてそう思った。
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マーシャ - cuphead夢小説の中でも原作の世界観が良く感じられ、素敵な作品だと思っています。何年も更新が停止されていますが、この年でも私のように読んでいる者が居ることをご報告したいです…！いつか更新再開されることを願います (4月18日 18時) (
レス) id: bebb921341 (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - ウサリボンさん» お返事が遅れてしまい申し訳ありません。今後の展開は未だに推敲中ですが、更新はいずれ必ず致しますので、長い目で見守っていただけると幸いです。暖かなコメントをありがとうございます。頑張ります! (2018年10月30日 17時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
ウサリボン - とまとたらこさん» 面白かったです。更新再開する事を願います。 (2018年10月24日 23時) (レス) id: 184a8843bf (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - やみなーさん» ありがとうございます！！！好きと言っていただけてとても嬉しいです……モチベーション上げて頑張ります！！ (2018年4月12日 23時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
やみなー(プロフ) - ｱｯ…すごい好き…(語彙力) 続き楽しみにしてます！ (2018年4月12日 22時) (レス) id: 8994a0e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とまとたらこ | 作成日時：2018年1月11日 23時
