いとまごい 5 ページ36
いよいよ最後の質問だと称して問いかけられたものは、今までのものとは方向性が異なっていた。
「何であのタイミングで帰ったの？」
恐らく、私がステージで突然倒れて消えた……現実に引き戻された瞬間の話だろう。
どうやら、私の意図した行為だったと思っているようだ。
「あー、あれね……。自分でもよく分からないんだけど、勝手に目が覚めちゃったんだよね」
「どういうこと？」
「何て言うか、私が向こうで寝てたら何故かこっちに来たみたいに、同じように向こうで起きたら帰っちゃった……みたいな？」
我ながら心底下手くそな説明だと思うが、そうとしか言いようがないのだ。
ジュニア君は首を傾げつつも、あいまいに頷いた。
「へー。ボクてっきり時間制なのかと思ってた。だって、丁度21時くらいだったんだもん。
それなら、ひょっとしたら今からでも帰っちゃうかもしれないってこと？」
「……多分」
あまり考えたくはないが、その可能性は否めない。
ジュニア君が続けて何か言いかけたところで、ウォーリーさんから声が掛かる。
何の前触れもなかったので、正直少し驚いた。
「邪魔して悪いが、着いたぞ。私ももっと聞いていたかったがね……」
「わっ。……すみません、お世話になりました！」
凄い、本当に5分くらいで着いてしまった。
ここが彼の体内であることを、暫く忘れてしまっていたことに気付く。
不思議だが、揺れも外の音も、全く感じなかったからだ。
「あーあ、終わっちゃったぁ」
ジュニア君は残念そうにメモ帳を仕舞い込むと、無邪気な笑みを浮かべてお礼を言ってくれた。
「付き合ってくれてありがと、Aさん！」
「ううん、楽しめたみたいでよかった」
吊られて私も笑顔になる。熱心でいい子だ……
じゃあまたね。と言おうとしたその時、部屋の床が大きくうねり、再びあの狭い空間に押し込められた。
「ばいばい！」
ジュニア君の声と、えずくような音が同時に聞こえた途端、身体全体が外気に触れるのを感じた。
夕焼けに照らされた森の木々が視界に移り、背中に固い土の感触を覚える。
「すまない、もっと優しく出すつもりだった」
「だ、大丈夫です」
全く痛くないわけではないが、気に留めるほどでもない。
ゆっくり立ち上がり、改めてお辞儀をする。
「送っていただき、ありがとうございました！仕事終わりに突然、すみませんでした」
「気にしないでくれ。息子も喜んでいたよ」
穏やかな声は、正に一人の父親のそれであった。
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マーシャ - cuphead夢小説の中でも原作の世界観が良く感じられ、素敵な作品だと思っています。何年も更新が停止されていますが、この年でも私のように読んでいる者が居ることをご報告したいです…！いつか更新再開されることを願います (4月18日 18時) (
レス) id: bebb921341 (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - ウサリボンさん» お返事が遅れてしまい申し訳ありません。今後の展開は未だに推敲中ですが、更新はいずれ必ず致しますので、長い目で見守っていただけると幸いです。暖かなコメントをありがとうございます。頑張ります! (2018年10月30日 17時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
ウサリボン - とまとたらこさん» 面白かったです。更新再開する事を願います。 (2018年10月24日 23時) (レス) id: 184a8843bf (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - やみなーさん» ありがとうございます！！！好きと言っていただけてとても嬉しいです……モチベーション上げて頑張ります！！ (2018年4月12日 23時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
やみなー(プロフ) - ｱｯ…すごい好き…(語彙力) 続き楽しみにしてます！ (2018年4月12日 22時) (レス) id: 8994a0e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とまとたらこ | 作成日時：2018年1月11日 23時
