彼女の吐露 ページ26
喉につっかえていた不安が、飴のごとく溶けていく。
「私達にとって『美味しそう』と思われることは、一番の名誉なの。
だから、あの時もそう言ってくれて嬉しかったのよ。
問題はそのあとね」
パーティの件のことだろう。
私はそれを、笑いのネタにしていたらしいが…
「差し支えなければ…教えていただけませんか？
私、何を言ってしまったんでしょう…」
「あら嫌だわ。覚えていないの？」
疑念の籠った瞳で見つめられ、少し目を逸らしてしまう。
「ごめんなさい…記憶がないんです。変だと思いますよね…」
しばらく怪訝そうな表情をしていた彼女だったが、やがて溜め息を一つ漏らし、ぽつりぽつりと語りだした。
「…『はらわた菓子が煮えくり返る』」
「え？」
「貴女の言葉よ。もうお忘れ？」
その言葉がギャグであることを理解するのに、少し時間を要した。
『はらわた』と『綿菓子』を掛けているのだ。
…く、くだらない。冷や汗がでてきた。
ひきつった私を尻目に、ボンボンさんは更に続ける。
「『この蜂蜜の秘ミツが知りたいよハニー』とか…まだまだあったかしらね、思い出したくもないわ」
傍らのお菓子達からも、溜め息や呟きが何回も聞こえた。
当たり前だ。いくらなんでも酷すぎだろう。
「それ…他の人達の反応は…」
「大爆笑よ」
吐き捨てるように言われ、思わず突っ込みそうになった。
いや流石におかしい。笑いのツボが浅すぎではないか。
「言葉だけなら笑いも半減したでしょうけれど、その話に持っていくまでの流れがとても上手だったの。
お菓子がネタでなければ、私も少なからず笑っていたかもしれないわね」
声色は優しいままジロリと睨まれ、また縮こまってしまう。
デビルさんの件を話そうかと思ったが、私自身それに関しては考えがまとまっておらず、長くなりそうなのでやめておくことにした。
それに、会ったばかりの人に相談するのも気が引ける。
「…貴女に物申すのも、本当は一言で済ませるはずだったのよ。
けれど、すっかり逆上しちゃってたみたいだわ」
ごめんなさいね、と謝られ、慌てて両手を振って答えた。
「いえいえ！悪いのは私ですし…多分」
不本意だったとはいえ、インチキはもう懲り懲りだ…
誤解自体はまだ解けていないが、丸く納めることができたようで、心底安心した。
もし気が緩んだ状態でなくとも、知るよしもなかっただろう。
このカラフルな世界の背景の中に、私を見つめる瞳が溶け込んでいることを。
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マーシャ - cuphead夢小説の中でも原作の世界観が良く感じられ、素敵な作品だと思っています。何年も更新が停止されていますが、この年でも私のように読んでいる者が居ることをご報告したいです…！いつか更新再開されることを願います (4月18日 18時) (
レス) id: bebb921341 (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - ウサリボンさん» お返事が遅れてしまい申し訳ありません。今後の展開は未だに推敲中ですが、更新はいずれ必ず致しますので、長い目で見守っていただけると幸いです。暖かなコメントをありがとうございます。頑張ります! (2018年10月30日 17時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
ウサリボン - とまとたらこさん» 面白かったです。更新再開する事を願います。 (2018年10月24日 23時) (レス) id: 184a8843bf (このIDを非表示/違反報告)
とまとたらこ(プロフ) - やみなーさん» ありがとうございます！！！好きと言っていただけてとても嬉しいです……モチベーション上げて頑張ります！！ (2018年4月12日 23時) (レス) id: 9b699bce75 (このIDを非表示/違反報告)
やみなー(プロフ) - ｱｯ…すごい好き…(語彙力) 続き楽しみにしてます！ (2018年4月12日 22時) (レス) id: 8994a0e7f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とまとたらこ | 作成日時：2018年1月11日 23時
