私が嘘つきな理由 (ページ1)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:864 hit

一つ目ページ1

ときには昔の話でもしましょうか。
もう何年も前、私が小学2年生だった頃の話。
正月を前日に浮かれ気分だった私が受けた、
神様からの人生で最大の仕打ち。
それは、私がここに来た理由であり、
人生を狂わせ、心を変えさせ、
全く違う“もの”となってしまった切っ掛けでした。

自分の部屋の掃除をしていた時の事……
何か耳に、パチパチという不規則な音が聞こえました。
臭いとしては、何かを焦がしたような、花火のような、何かの焼けるような匂いだったような気がします。
そのときの私としては、その音もにおいも気にせず…
今の私ならば、心的外傷後ストレス障害によって…
何もしなかった、何も出来ないことでしょう。
ただ、私の眼に映ったのは、
橙色または朱色に染まって輝く、兄の部屋のドアの窓でした。
随分と早い夕焼けか、それとも陽の光が強いのか、はたまた、何も思わなかったのか…。
詳しいことは記憶から消してしまったのですが、
誰かの叫ぶ声と、兄に押されて階段を急いで下り、
寒いはずの雪の中で、非常に体が熱をもったように熱く感じ、
泣いていたのだけを覚えています。
200x年、12月31日
私の家は、火事にあいました。

そのとき私は
何か大切なものを、炎の中に、
何か大事なことを、煙の中に、

置き忘れてしまったのかもしれません。

もう、後戻りはできない。