2日目のシチュー (ページ8)

今日:1 hit、昨日:15 hit、合計:21,449 hit

嵌ればいいページ8

『ほく、はぐして』

北斗くん不足だった
とにかく北斗くんにハグして欲しくて、北斗くんで満たされたくて強請ったのに

「しなかったらどうなるの？」

簡単にハグしてくれないなんて、なんで？そんなこと聞かずにハグして欲しいのに

『北斗くんのこと恨んで呪っちゃう』

これくらい言えば北斗くんは慌ててハグしてくれるだろうと思ったのに

「そんなに罪重いのね...じゃあしない」

そう言って笑った

『なんで！』

「しない方が俺には都合いい」

『やだ！北斗くん不足だもん、はぐ！』

「しなかったら俺の事恨むんでしょ？」

『恨む、呪ってやる～』

眉間に皺を寄せて言えば皺できちゃうよって私のおでこを指でほぐすように撫でる

「その方が、Aの心にずっと住み着けるでしょ」

意味がわからくて首を傾げると北斗くんはまた笑った

「あなたのことが好きすぎて、普通に愛されるだけじゃ...好きだけじゃ足りないのかも」

『...でもしてくれなきゃ北斗くん不足でどうにかなっちゃうよ』

「ギリギリのところで助けてあげる、そしたらあなたはずーっと俺から離れられないんじゃない？」

『...ほんとに北斗くんなしじゃ生きて行けなくするつもりなんだ？』

「当たり前でしょ、あなたは俺がいないと生きていけないくらいがちょうどいいのよ」

私の頭を優しく撫でてふわっと抱きしめてくれた
北斗くんに包まれて北斗くんの背中に手を回そうとしたのにすぐに離された

「もうおしまい」

『...足りない』

「また補充してあげる、それまで俺に飢えてて」

『意地悪』

「でも好きなんでしょ？」

図星、これならもう怒りに任せて言ってしまえばいい

『大好きだもん、意地悪されても大好き』

「素直ね、ご褒美」

今度は少し苦しいくらい抱きしめられる

『ほく、』

「なぁに？」

『ほくが思ってるより私はほくのこと好きだよ』

「...まだ足りない、もっと俺に嵌ればいいよ」

『...そっちこそ、もっと私に嵌ればいいよ』

北斗くんが私の顔を両手で包んでそっと口付けた

「あなた俺に似てきたね」

『どっちがだろうね』