第5節 ページ7
一応、放課後になる前にも、取り巻きが離れる時間を探してはいたけど、結局、彼らが居なくなることは無かった。
放課後、大半の取り巻き達は部活でいなくなり、これでやっと話せる、と思っていた。
「おい、早川」
教科書類を鞄に詰め込んでいると、急に、後ろから声が掛かった。
振り替えると、そこには、氷室浩介が立っていた。
「お前、今日ずっと俺のこと見てただろ?どうかした?」
若干苛立った口調で言う。
「コソコソされんの、気持ち悪いんだけど。言いたいことあるなら直接言えよ」
へぇ、そっか。
今日、ずっと見られてた理由、本当は氷室が悪いのに、そんなこと言っちゃう?
「自分が原因って言う考えには及ばないわけ?」
苛立って、つい口調が攻撃的になる。
苛立つと、すぐに口論に持ち込んでしまう。私の悪い癖だ。
私だって、今朝まで忘れてた訳だし、あんまり人のこと言えないのに……。
「え?」
氷室は心底驚いたような顔をした。
今日は、氷室が相手だったから、口論にはならずに済んだか。良かった。
「あのさ、本、貸したじゃん。あれ、今日で1年経ったよね?」
そう言うと、氷室は目を見開いた。思い出したか。
「ごめん!明日には絶対、持ってくるから!」
両手を合わせて、謝る氷室。
「分かった。絶対だからね!」
一応、念を押しておく。すると、氷室は意外な事を言った。
「もしかしたら忘れるかもしれないから、明日、声かけてくれよ」
「でも、氷室っていっつも周りに人いるから話しかけづらいんだけど……」
「じゃあ、俺、朝早く来るから。お前、いっつも学校で最初に来るだろ?」
え……?強引だなぁ。ってか、私と遥香の時間が侵されることになりかねないし嫌なんだけど。
まあでも、1日だけならいっか。
「じゃあ、また明日」
「おう。また明日」
そう言って、氷室と別れた。
【ごめん、遥香!明日、朝から氷室来るっぽい!】
遥香宛にメールする。
【いいよ全然!気にしないで!】
すぐに返信が来た。
ありがとう、遥香……良い子だ……
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マサイ推し - 更新お待ちしてます。 (2020年7月26日 21時) (レス) id: 771a4df003 (このIDを非表示/違反報告)
雪見(プロフ) - とても面白いです!!更新頑張ってください!!! (2018年11月16日 22時) (レス) id: 27975a6d3f (このIDを非表示/違反報告)
水瀬(プロフ) - 面白いです!更新頑張ってください!! (2018年10月21日 16時) (レス) id: db4b643399 (このIDを非表示/違反報告)
黒蜜がけ抹茶わらび餅(プロフ) - まぃりぃさん» ありがとうございます!最近、ちょっと用事が多くてですね……更新が遅れてしまいますが、明日からはちゃんと更新しますよー! (2018年8月10日 6時) (レス) id: 1a91fe4b3b (このIDを非表示/違反報告)
まぃりぃ - とても面白いです!続きが楽しみです。更新頑張ってください♪ (2018年8月9日 23時) (レス) id: 6b8bf83b3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒蜜がけ抹茶わらび餅 x他1人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年7月16日 12時