ブラックと、とある魔女 (ページ10)

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1〈魔女雨の誕生〉ページ10

児童養護施設の外にて、そんあ異国の言語での会話が紡がれる。
「You did a good job,A！」
　そう言われたので、「Thank you,too」と笑ってお礼をした。
　あの日々をいち早く脱せたのは、ブラックのお陰だから。
「Well,we're ganna go back…」
「Black」
　帰るためにワープホールを出現させようとしていたブラックを呼び止めた。真剣な視線で見つめ、彼の動きを捕らえる。
　私を見てくれる、その視線が大好きです。黒い瞳に吸い込まれて、溶けてしまいたい。
　だから。
「Please let me be with you from now on too」

　私が、どうしようもなく“欲しい”と思ってしまうのも、必然だった。

「………」
　そう、強めに言い放った私を見て、ブラックは考え込んだ。顎に指を添えて、こちらをじっと見つめてきた。何を考えているのか解らない。だが、それで良い。それも、貴方の魅力の一つなのだから。
「…That's quite interesting」
「Well Then！！」
「Could you sign Witch contract？」
　そう言って、彼は契約書を出してきた。またもや、それは仄かな光を放ちながら、宙にふわふわと浮いていた。
「Witch contract？」
　ニュアンスは何となく理解しつつも、私はブラックに訊ねてみた。
「If you sign here, you become my witch」
「Your……witch…？」
　夢の様な言葉を繰り返すと、彼から「Yes」という返事が来た。またすぐに。
「By the way,if you become a witch, you have to live in HELL. Is that still OK？」
　という条件も告げられた。

　私が、魔女に。ブラック“様”の………。

　この機会を逃せば、もう二度とブラック様に会えなくなってしまうかもしれない。それに、あんな醜態を晒しておいて、あの孤児院にこれ以上住むことができるほど、私は周りを気にしない性格ではない。
　これ以上ないくらいの絶好の機会。逃す方がきっとおかしい。
「…Of course」
　猫撫で声のように甘い声で、私はそう答えた。

　この頃にはもう、私は完全にブラックに対する感情を自覚していた。