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1〈魔女雨の誕生〉 ページ5

私が絞り出すようにそう言うと、瞬く間に、涙が一滴、二滴と零れ落ちていった。おかしいな。ここまでするつもりは無かったのに。
「How come?」
 ブラックは立ち止まりって訊いてきた。神妙な顔つきになっていたが、どこか優しさを感じられる表情ではある。

 嗚呼、その顔を見る度に、私の胸は締め付けられる。それは快楽のようなものでもあり、ただ痛いだけの苦しみでもある。
 それでも、何だかそれが、心地良い。そんな矛盾した感覚が、心臓を強く打ち付けるのだった。

 ……そうか。私は、このヒトに見てもらいたいのか。

 喋ることなどできず、ただ嗚咽を漏らし続けただけだった。


「You OK?」
「…Year,I'm sorry. I am OK」
 そう謝り、私は涙を拭いた。
「Well then,what do you mean that you said?」
「…Actually, I am……」
 私は、施設で受けてきた『いじめ』を包み隠さず暴露した。悪魔相手に同情というものが通用するのかわからない。それでも、身や声を震わせ、涙が出そうになる素振りを時折見せた。そうしてあの日、雪の中で放置されていたところまで説明すると、ブラックはあからさまに目を輝かせた。
「鬼ヤバですね〜!!」
 歓笑を浮かべ、声高らかにそう言った。カメラちゃんも「ジーー!!」と便乗するように音を震わせた。
「…What is Oniya……?」
 そう訊くとブラックは、「The meaning is to mind blow」という意味だと、少し抑揚の激しくなった喋り方で教えてくれた。
「まさか、ここでそんな面白いネタに喰いつけるとは……。何が起きるかわからないですねえ〜」
 ブラックはまた日本語?を呟きながらニヤニヤと笑っていた。

 嗚呼、痛い。またもや胸が締め付けられていく。まるで火がつけられたかのように、爪先から頭まで、身体全体が熱くなっていくように感じて仕方がない。

「Could I take a video?」
「Huh?」
「Actually,……」

ブラックという自称悪魔は、『Youtuber』というものをやっているらしい。インターネット上には、『Youtube』というサイトがあるらしく、そのサイトに動画をアップロードする人(ヒト)を、そう呼ぶそうだ。
 彼の要望は、Bellaたちを大人しくさせる代わりに、その一部始終を撮らせてほしい。ということだった。
「What choice you'll take?」
「………」
 ここで私が誘いに乗らなければ、チャンスは遠ざかってしまう。こんなに良い機会は、逃して良いわけがない。
「…Yes. I accept your suggested」

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設定タグ:ブラック , ブラックチャンネル , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0  
作成日時:2024年3月25日 23時

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