3〈悪魔と魔女の愛と恋〉 ページ32
「誰よりも美しく、賢く、素敵な魔女であったこの少女の裏側は、自身の恋という感情のためだったら何でもする、非道で、自分勝手なサイコパス。まさに、魔女と呼ぶに相応しい人間でしたね!」
視線を、ブラック様が喋っている方向に移す。
いつ出てきたのだろう。カメラちゃんが浮いていた。ブラック様に言われて、どこかに隠れていたのだろうか。
五年間、ライブ配信。私が魔女になった時からずっと、撮られていたのか?まさかまさかの事実である。
「雨、いやA、何か言いたいことはありますか?」
ブラック様とカメラちゃん。二人の顔が一気に近くなった。二人共、あの素敵な笑顔をしている。本当にそっくりだ。
嗚呼、初めての経験である。罪人、『裁かれる側』の視点など。
どうして、どうして。
「………あは」
「うん?」
「じぃ〜?」
どうしてこんなに、嬉しいのでしょう?
「あっははははははははははは!あははははははははははははははは!!」
嗚呼、喜ばしい。踊る心を抑えられずに、腹の底から笑いがこみ上げてきてしまう動いている。
あぁ、そうか。私は嬉しいんだ。
遂に、本当の意味で、ブラック様に撮ってもらえたことが。
いや、厳密には五年前から撮られていたのだから、最初から私の望みは叶っていた?
そう思うと、さらに笑えてきて仕方がない。望まなくとも、とうの昔に叶えられていたなんて。
「最っ高に、幸せです!!」
目を輝かせて、御二人に言いました。カメラちゃんは少し戸惑った表情に、ブラック様は無表情に戻ってしまった。
「実は私、ずっとブラック様に撮ってもらいたいたくて、深いところまで私を見てほしくて、ずっと頑張ってきたんです。魔法も、勉強も、編集も、歌は微妙でしたけど、それでも努力してきたんです。そんな夢が、この一瞬にして叶って、しかも望む前から叶っていたなんて………幸せ以外の何と言うのですか?」
饒舌に、語れるだけ語り尽くした。
レンズの先にいる大勢の視聴者にではなく、目の前の、驚いた様子も、戸惑っている様子も、忌み嫌っている様子も見せない、ブラック様に向かって。
「ブラック様……楽しかったですか?私の日常を付きっきりで撮影して、楽しかったですか?もし楽しかったのなら………」
右手を、首元に突きつけられた鎌の縁に添える。
「私という魔女を、罰していただけませんか?」
「………」
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時