1〈魔女雨の誕生〉 ページ4
「ーーーHmm…」
目を覚ますと、黒色の天井が見えた。身体が、何だか暖かい。それにふかふかしている。
手や足の指を曲げたり伸ばしたりして、生きていることを実感する。
ここは、どこだ?
「…Where……」
途端に、青白い光が放たれている方から、ガチャンと物音が聞こえてきた。そちらに視線を移せば、複数のPCが立ち並ぶ机、壁には不気味な絵のポスターが大量に貼られていることが分かる。
しかし、物音の原因はそのいずれでもなかった。PCの並んでいる机に向かい、座っていた人が、椅子から降りる時に出た音だった。
「You wake up?」
「じー?」
私が横たわっているベッドに近づいて、彼は訊いてきた。
ふわふわと浮かんでいる、身体の生えたビデオカメラ。そして隣には、優しい声によく似合う、優しい顔の人。見ていると、何だか頭がぼーっとしてくる。
「…Well,I'm A. Who are you?」
「My name is ブラック. It is カメラちゃん. We're Devil」
「What?」
思わず顔を顰めてしまう。確かによく見てみれば、顔の右半分を隠している髪には不思議な赤い三角模様が浮かんでいる。ヘアピンか何かだと思っていたが、改めて観察してみれば、明らかに実体ではない、光のような質をしていた。
確かにその点ではおかしいが、この人が、悪魔だということは信じ難かった。
『悪魔』とは、人間を誘惑して堕落させる、悪を体現し魔物。人を殺す行為だって平気で行う筈なのに、この人はそれをしなかった。
だから、信じられなかった。いや、信じたくなかった。
この人は、私の天使様なのだから。
「Why did you bring me here?」
さあ、どう答えてくる。
「Because,if someone falls down in front of my eyes,I must help the human」
「…Realy?」
「Yes」
普通だとでも言うような顔をして、即座に彼は答えた。
隣りにいる『カメラちゃん』も「じぃ」と、肯定するように音を発した。だからこそ、カメラちゃんはともかく、このブラックという人が『悪魔』だということに、私が疑いを覚えるのは必然のことだった。
果たして、優しい悪魔、というのが存在するのだろうか。
「For now relieved because you are safe. I am going to return you to the humans world……」
「…! Wait please!!」
私は急いで、ブラックの右袖をギュッと掴んだ。
「…What's wrong?」
「じー?」
「I don't wanna go back…」
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時