3〈悪魔と魔女の愛と恋〉 ページ30
いつものように、脆くて無惨な苦痛に歪む顔を私たちに見せながら、アイツはその一部始終を悪魔に撮らせていたのだ。おかげで、私たちはみんなの前で身ぐるみを剥がされ、着実に積み重ねてきた信頼は、全て地に落とされてしまった。
悪魔は、楽しんでいた。目をカッと見開いて、恐ろしい笑みを浮かべて、声高らかに「This!is!Entertainment!!」と言っていた。
あいつも十分、恐ろしかった。しかし、あんな悪魔を超越するほどの恐怖を、私は知っている。
A。彼女が、崩れた私のもとにゆっくりと近寄りしゃがんで目をじっと見つめてきた時の、あの恐ろしさ、悪魔という言葉では表現できないほどの不気味さがあった。
思わず身が竦んでしまった。あの昏い目に、吊り上がった口角、漏れ出る微笑は魔女のように甲高い声だった。彼女の鋭く美しい美貌が、恐怖を与えるためだけに作られた仮面に見えた。いや、いっそ仮面であったならばどれほど良かったことか。
あれがあの子の本性なのだとしたら、とても、恐ろしすぎるから。
***
興奮の余り英語に戻ってしまった脳を冷やし、再び日本語で語りかける。
「だから私は、正しいことをして来たんです。好きなヒトには笑っていてほしいから、ずっと一緒にいてほしいから、だから頑張ってきたんですよ?」
そんな私の努力を、勝手に無碍にしようだなんて、良いわけないではないですか。
右手で握りしめていた杖を、ブラック様に向けた。
「ブラック様、少し、静かにしてくれませんか?」
これも全部私たちのためなのです。だから。
私は彼に向かって、渾身の魔法を放った。
放たれた弾丸の形をした魔法を、ブラック様はふわりと飛んで軽快に避ける。彼は瞬時に虚無からあの鎌を作り出し、刺すように、私の方に柄の先を突き出した。
私も瞬時に防御魔法で防ぎ、力いっぱい、その攻撃を押し返す。押し返された勢いで、彼は踵をコンクリートに引きずりながら後退したが、すぐにまた鎌の柄の先が眼前に迫ってきた。
しかし流石だ、ブラック様は。あの一度の攻撃だけで、防御魔法に罅が入ってしまった。私の体力は無限ではないし、長期戦になることを見越して抑えておきたいが、少しでも気を抜けば、簡単に破られてしまうのも事実だろう。ならば。
突きの攻撃をいくつか繰り出した後の、鎌から放たれた電撃の魔法。しかし、見たところ威力はそれほど強力ではない。万が一当たったとしても数十秒動けなくなるだけだ。
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時