３〈悪魔と魔女の愛と恋〉 ページ28
人(ヒト)殺し。その罪の重さを、頭では理解していた。しかしこの場合に行う『殺し』とは、単なる犯罪でないと感じていたのだ。
これはあくまで『罰』だと、正しいことをしているだけだったのだと。
しかし、それが、間違いだったというのですか?
「流石に、許されることではありませんよ。残念でしたね」
氷のように冷たい声色で告げられた『有罪』は、私の心臓を握り潰してくるようだった。何よりその表情が、私を見るその目が、敵愾心を含んでいると感じ取れて仕方がなかった。
今までの日々が、鈍い音を立てて崩れ落ちる。
あの優しい笑顔も、声も、輝く瞳も、躍る気持ちも、何もかもに罅が入って、割れていくようで。
全身に力が入らなくなっていく。
それでも、私は崩れそうになる膝をグッと堪えた。
「……全部…」
ぽつりぽつりと、呟くように声を出す。
「全部全部……貴方のためだったんですよ…？」
「オレちゃんの、ため？」
冷たい雰囲気を纏ったままの返事だった。
「改めて言います。私は、ブラック様のことが、心の底から好きなんです。透視しかけていた私に、手を差し伸べてくれた優しさも、動画のこととなれば全力を尽くすその姿勢も、動画のネタ一つ一つに目を輝かせる少し子供らしいところも、罪人に罰を与えた後に更生の希望を残してくれる慈悲深さも、本当は天使なのに、私が天使扱いするとちょっと拗ねてしまうところも、体温のないその肌も、笑顔も、何もかもが、同仕様もなく好きなんです。いいえ、単なる『好き』では絶対に足りません。何度も何度も狂っていると言われるくらいには、深く、強く、あなたに恋してしまっているんですから……」
自身の内に立ち籠めていた、洪水の如く溢れ出る『好き』を連ねるだけ連ねる。もう既に、自分の脳は一種の興奮状態に陥っていた。
「それくらい、もう手遅れと言ってもいいほど好きですから。私は、この幸せを、貴方の笑顔を、ずっと守りたかったんです。無意識かもしれませんが、アンチコメントを見た時のブラック様、一瞬悲しそうな顔になるんです。ブラック様を批判するだけでも許せないのに、悲しませるなんて、許せるわけがなかったんです。貴方を悲しませて良いのも、否定して良いのも私だけなのに……。例えブラック様が許せても、私は見逃せなかった。あいつらは、私たちを脅かす危険な存在で、この世から消えて当然だったんです。だから」
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作者名：U-ray | 作者ホームページ：http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時：2024年3月25日 23時
