ブラックと、とある魔女 (ページ27)

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３〈悪魔と魔女の愛と恋〉ページ27

「だからといって、こんなことをして良いとは誰も言っていませんよね？」
「ですが、こいつらがやったことも、決していいことではない。むしろ悪い行いですよね？ブラック様だって、愚かな人間や魔物を見つけては罰していたではありませんか。それと、何が違うのですか？」
　反発するような口ぶりになってしまったのは、大変反省する。
　しかしそれでも、私には解らなかった。
　ブラック様だって、私とそう変わらないことをやってきたではないですか。
　それなのに、どうして。
　どうして、苦虫を噛み潰したような顔をするのですか。
　ブラック様は、大きな溜息を吐いた。
「第一に、オレちゃんはここまでのことはしませんでした。撮れ高になりそうなものを挑発して調子に乗らせ、幸福の絶頂に至ったところで叩き落とす。悪くてこれくらいです。あなたのように、ここまで痛めつけ、生地獄を味あわせるような真似はしなかったはずです。それに、オレちゃん撮影してきたのは、あくまで絵になりそうなものだけでした。独特なテーマで撮影してこそ、心が踊り、人々(ヒトビト)を惹きつけられる動画になるんです。アンチの撃退なんて有り触れたものを撮影したって、何も面白くない」
　ブラック様は一つ一つ、丁寧に違いを説明してくださった。それでも、やはり解らない。結局、やっていることの本質は同じように思えてしまう。
　罪人がいたから、罰した。ただそれだけの単純な筋道のはずだから。
「そして、もしアンチ程度を許されない罪と言うのなら、あなたのがやってきたことは、それ以上に決して許されない大罪ということですよ」
「……え？」
　呆気に取られた。貼り付けた笑顔も、喉から驚きの声が零れ落ちると共に剥がれてしまった。
「先程、『こいつら』といいましたよね。つまり、あなたがこのようなことをしてきたのは、この方が初めてではないということ」
　ブラック様は、自身の足元に横たわっていた魔物に目を配った。やはり見逃してはくれないか。まぁ、もう端から隠す気などなかったから別に良いけど。
「この一年で起こった行方不明事件が、全てあなたを引き金にして起こっていたのなら、あなたは、それくらい沢山のヒトを殺したことになります。命を奪うことがどれほど非道い罪なのか、あなたは解っているのですか？」
　その冷たい左目に、私は睨まれる。
　唖然とした。