3〈悪魔と魔女の愛と恋〉 ページ26
一体、どんなことを考えているのでしょうか?なんて、私に解ることではございません。
あぁ、ですが、精々あと数ヶ月といったところでしょうか。それまで尻尾を掴ませなければ、このまま、何事もなく同じような日々に戻れるのでしょうか?
胸に手を当てて呟く。ニヤけてしまう気持ちを噛み締めながら。
「I will do my best as your Witch」
***
数カ月後の深夜だった。人間界の廃ビルに捕らえていた罪人に、今日も罰を与えようと乗り込んだ。いつも通りの杖を持ち、対象をできるだけ苦しめ、死なない程度で終わらせようと思っていたのだ。
しかし、今日は、今日だけは、決定的に違っていた。
ビルの階段を登る。コツン、コツン、という音が、暗闇の中で響いている。そしてようやく目的の階に着いたところで、その場に佇んでいる異変を目にした。
黒く、燃え滾るような形の髪を持つヒト、そんなシルエットを私は眼中に捉える。私が見間違えるはずない。だって、心の底からお慕いしているのだから。
「…ブラック様?」
そう呼びかけると、その黒い影はゆっくりとこちらを振り返った。右目を隠した髪に、くっきりと浮かんだ、赤い三角形の光。
「雨」
私の名前を呼んでくださった。
「どうして、貴方様がこんなところに?」
いつもの笑顔を繕った。
「それを言うならあなただって、どうしてこんなところに居るんですか?」
向こうも、表情を変えずに、こちらに接してくる。
さて、どうしようか。少し、ブラック様から視線を逸らす。彼の足元には、私が散々罰してきたであろう罪人が、うつ伏せになって横たわっていた。十中八九、私がやったのだと気づかれている。
ならば、ここで嘘を吐くのは悪手だろう。仕方なく正直に言うか。
「そのヒト、貴方を批判した…許されない罪を犯したうちの一人だったんです。だから、罰してあげないと、と思って」
「それで、こんな穴だらけになるまで痛めつけたんですか」
「はい。魔物は人間などと違って、そう簡単に死にませんから」
魔物は人間と違い、物理攻撃は一応通るが、それが致命傷になることはほぼない。大半が、魔法などの力を致死量で受けて消えていく。それならば、相手が消えない程度の魔法をずっと流し続ければ良いだけだった。
ただそれだけのことなのに、どうして、ブラック様はそんな顔をするのですか。
そんな、まるで、毛虫でも見ているような目をするのですか。
2人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時