3〈悪魔と魔女の愛と恋〉 ページ25
大罪を犯した罪人を探し出しては、最大限苦しめて殺す。そんな日々がここ暫くの間続いた。悲しいことに、批判する輩というのは後を尽きないのだ。その行為がどれだけ許されないことなのかすら、理解してないのだから。
処刑までの過程も、処刑した後の片付けも、大変な作業であるというのは事実だった。しかし、それで私がブラック様を笑顔にし、糧になれるというのならば、喜んでこの身を削れた。
だから、ずっと笑っていてください。
その笑顔の傍に、私を置かせてくださいね。
「何見てるんですか?ブラック様〜」
PCをじっと見ていたブラック様に、いつものように抱きついた。体温の無いこの肌が、ひどく落ち着いてしまう。
「……少し、気になることがありまして」
そう言ったきり、彼は黙ってしまった。作業の邪魔をしたら鬱陶しく思われるかもしれないし、私もまだ今日の仕事は終わっていなかった。仕方ないから、私は絡めていた腕を解いて、その場から離れようとした。
すると突然。
「最近、連続して色んな方が忽然と姿を消しているらしいんです。雨は何か知りませんか?」
「忽然と、姿を消す…」
人差し指を少し曲げて、顎に当てる、そうして考える素振りを見せた末に。
「すみません、心当たりもありません。あ、何か情報を手に入れたら必ず教えますので」
真剣そうな顔、申し訳そうな声で装って、私は彼を欺いてみた。
だが。
「………ヵ」
「……!」
声に出さないよう堪えながら、跳ね踊る気持ちを胸に抱いていた。喉の奥から湧き出る喜びに酔いながら、笑わないように、一生懸命表情を殺していた。
「…いえ、ないなら構いません。ありがとうございます」
「…………」
脳内でドーパミンが大量分泌されるような、快楽?さぁ、解らない。
ただ私はそのまま、部屋を後にした。
「……あははっ!」
この私が、見逃すはずがない。先程一瞬、ブラック様の顔に、人間を撮影している時特有の、素敵な笑顔が浮かんでいた。
やはり勘付いていたのか。だが、それでもあの場で問い詰めてこない優しさは、やはり堕落しても天使であることの証だった。
いや、もしかしたら決定的な証拠がないから、強く出ることができなかったのかもしれない。まぁ、どちらにしろ時間の問題である。
もしかしたら既に気づいているのかもしれない。見て見ぬふりをしてくださっているのかもしれない。
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時