2〈魔女雨の日常〉 ページ24
ちらちらと見えた怪物の顔は歪んでいき、さらに恐怖と困惑で覆われていることが分かった。
「狂ってる?当たり前じゃないですか。人ならば、恋をすれば誰だっておかしくなってしまう、狂ってしまう。ならば」
杖に魔力を流し込む。水晶が紫色の輝きを放ち始めた。
「私が狂ってしまっているのは、もはや必然なんです」
そう言いながら、魔法を放った。強い光を受けたその怪物は、体の上の方から段々と塵になっていく。
「……あはははははっ!」
『狂っている』という言葉を思い出して、また笑いが溢れてしまう。そうだ。何を当たり前のことを言っていたのだろう、あいつは。
人間は、恋をすれば何かしらおかしくなってしまう。しかし、それは自然なことであり、むしろその所謂『おかしさ』が過ぎれば過ぎるほど、抱いている感情は強く、深く、重いものなのだ。
狂ってしまえるほど素敵な恋をできるというのは、それほどまでに幸せとも言い換えられる。
嗚呼、はい。私は今、最高に幸せです。
-第二章:終幕-
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作者名:U-ray | 作者ホームページ:http://Kegaretakoinitumonakiaiwo0
作成日時:2024年3月25日 23時