これまで ページ9
子供の頃に深く刻まれた記憶は、悪いモノならトラウマに、反対に良いモノなら一生の宝物になる。
“彼”＿＿＿パトリにとって後者のそれは、15歳になったリヒトが
(四つ葉の
エルフ族というのは少数種族ゆえに同族意識が高い。
また、皆が優れた魔力を持って生まれるため、人間のように魔力の優劣による差別や嫉妬といった感情が無いというより、理解ができないのだ。
穏やかなエルフ族でも性格にはもちろん個人差がある。
パトリや従兄のラトリは捻くれているし、ライアは面倒くさがりだ。
そんな彼らの中でもいっとう人格者であり、ゆくゆくはエルフの長となるであろう青年が四つ葉の魔導書を授かった。
その日パトリの目に焼きついた光景が、彼がリヒトを慕うきっかけとなった。
子供心ながら親鳥について行く雛のように毎度リヒトのところへ行くパトリを、リヒトは毎度嬉しそうに迎えてくれた。
それがパトリにとって何よりも幸せだった。
増え続ける人間達の穏やかではない話がエルフ達の耳に触れ始めた頃、リヒトには一つの大きな出会いがあった。
竜巻に巻き込まれた人間の少女を助けたのは、リヒトともう1人の青年。
その青年はリヒトと同じ四つ葉の魔導書だったのだ。
人間の少女と青年、そしてリヒトはすぐに馬が合った。
リヒトを取られたようで気に食わない、という単純なものでもなく、2人はパトリやライア達を見ても嬉しそうに微笑んで歩み寄ってくる。
むしろ人間に対する食わず嫌いのような感情が邪魔なのかもしれないとも思い始めるほど、2人はイイヤツらだったのだ。
リヒトに人間との運命的な出会いがあった後、その恩恵とも言える出会いがパトリにもあった。
「パトリ、紹介したい子がいるんだ」
「僕に？」
青年がパトリへの直接的な用向きは珍しく、思わず身構える。
しかしそれは杞憂で、青年の後ろにはパトリと同じくらいの背丈の小さな少女が隠れていて、青年と同じ蒼眼でこちらをじっと見つめていた。
「ほらA、出ておいで」
「………」
昔のパトリならいざ知らず、今のパトリならわかる。
これは人間がエルフに向ける負の感情とかではなく、ただ人見知りで緊張しているだけだと。
確かにリヒトは人間ともわかり合えると言っていたが、パトリは別にこういうわかり合いを求めていたわけではなかった。
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HANON(プロフ) - 柏餅さん» 神だなんて光栄です！柏餅さんコメントありがとうございます。 (3月17日 0時) (
レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - シオンさん» 何度も読み返していただけて嬉しいです。シオンさんコメントありがとうございます。 (3月17日 0時) (レス) @page13 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 神すぎます！ (3月13日 22時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 本当に本当にすごい。何回も読み直してます！それでもずっと面白い！！本当に本当に最高です。 (1月19日 2時) (レス) @page12 id: cb169202a3 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます。更新頑張ります。 (10月13日 0時) (レス) @page11 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2023年1月15日 20時
