夢物語 ページ2
『兄様や姉様は私の笑った顔が好きだと仰るけど、私は好きじゃありません』
『まあ分かる』
『何がですか』
『無機物と生モノの違いがはっきりしてる』
『なんて？』
『何してんの捻くれ2人組』
『オマエが言うな』
自分達が誰よりも敬愛する3人を複雑な感情の目で眺めながら駄弁る2人組。
はたから見れば揃って座って仲良くおしゃべりしているようでなかなか微笑ましい。
実際歳も近く、人間の黒い部分を知っている分周りの好意を素直に受け取れない捻くれたところが似ている。
そこにもう1人従兄が加われば、向こうにいる“とんでもなくいいヤツら3人組”に反した“とんでもなく捻くれたヤツら3人組”の完成だ。
まだ
『エルフの方たちは私が捻くれているのが単なる思春期だと思っていないんです。鋭いにも限度があるでしょう』
『まあオレ達エルフだし』
『一応僕らにもそれくらいわかる目はあるよ』
『両親は私が捻くれていることすら知らないのに』
『極端だな』
両親や臣下へは王女然とした態度で、民へは明朗で優しい平等な王女と、何が本当かわからなくなった矢先に現れた最初の理解者が彼らエルフだった。
不満はないが不足は感じるのも無理はない。
かと言って両親にも理解されたいのかと言えばそうでもないのが、捻くれているというところだろう。
『でも人間への態度は変わってないんだろ？』
『ええ』
『なんで？そうまでして国王になりたいの？』
『ええ。なりたいです』
『…人間らしい欲深さにしては真っ直ぐだな』
少女の、風の精霊に選ばれたのも、次期国王に推されたいるのも自分の意志ではないが、国王になりたい気持ちは嘘ではなかった。
『私が国王になれば＿＿＿』
.
「………淡い夢だったんだね」
白雪姫のように静かに眠る彼女を、起こさぬよう優しく抱きかかえて運ぶ。
向かった先は王都からも団の本拠地からも遠く離れた最果ての村の奥地。
自団の厚めのローブを着せているとはいえ、冷たく硬い場所に寝かせるのは心苦しいが、他に場所は選べない。
「…目が覚めた時、君の目に映る
どうか君にとって、美しいモノであるように。
額同士を合わせながらそう願って、右耳に付いた雫型の魔石をぷつりと外した。
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HANON(プロフ) - 柏餅さん» 神だなんて光栄です！柏餅さんコメントありがとうございます。 (3月17日 0時) (
レス) id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - シオンさん» 何度も読み返していただけて嬉しいです。シオンさんコメントありがとうございます。 (3月17日 0時) (レス) @page13 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
柏餅(プロフ) - 神すぎます！ (3月13日 22時) (レス) id: 55951e8f98 (このIDを非表示/違反報告)
シオン(プロフ) - 本当に本当にすごい。何回も読み直してます！それでもずっと面白い！！本当に本当に最高です。 (1月19日 2時) (レス) @page12 id: cb169202a3 (このIDを非表示/違反報告)
HANON(プロフ) - 桜さん» ありがとうございます。更新頑張ります。 (10月13日 0時) (レス) @page11 id: 42f4c6aba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：HANON | 作成日時：2023年1月15日 20時
