ハニートラップはお断り【名探偵コナン】

第九話 ページ10

猫を探し始めてはやくも五日目。
正直本当に見つかるのか怪しくなってきたところだ。


ちなみにあれから沖矢さんからの電話はない。




「なかなか見つかりませんね・・・」

「ん〜、隣町の方まで範囲広げてみる？」



そう、“電話”はない。

何故ならほぼ毎日のように彼に会うからだ。
そしてなぜだか主人公君もご一緒に。


えっ、この人モブじゃないの？？
モブなのに主人公のコナン君と仲がいいの？？


初めて沖矢さんがコナン君を連れてきた時、彼は昔テレビで見た通りの猫の被り具合で私に挨拶してきた。


「こんにちはお姉さん！僕は江戸川コナン！
昴さんからお姉さんが探し物で困ってるから手伝って欲しいって言われてきたんだ！」


何故いるのだろうと思っていた私の心を読んだかのように彼は一気に喋った。
あ、いや、その気持ちは嬉しい。ありがとう。
だけれどもコナン君と沖矢さんの関係は…？
もしかして沖矢さんって警察関係？

え、いや、そういえばこの前大学院生だって教えてもらった。
教えてもらって、大学院生って暇なんだなとか失礼なことを思ってしまったことを思い出す。


「えっと、コナン君？は沖矢さんと仲がいいのかな？」


「うん！昴の兄ちゃんとはよく遊んでもらってるんだ！」


いや、コナン君。わざわざ昴の兄ちゃんだとか言い直さなくて大丈夫だよ。

なんといおうと、江戸川コナンが工藤新一であることはもう全世界の人間が知っているくらい常識的なものになっているわけで、そんな彼がバレているとも知らず必死に小学生ぶっているのになんだか感動さえも覚えた。


確かにこれは誰がどう見ても小学生だ。

まあ、小学生と大学院生がどうして仲が良いのかは置いておいて。

普通の人なら沖矢さんがよくコナン君の面倒を見ているんだろうとか考えるのだろうが、私はそうはそうはいかない。


コナン君に関われば100パーセントと言っていい程事件に遭遇する。
しかも大体が殺人事件。
そしてきっと昴さんも経験があるのだろうと思う。
それにここ毎日のようにこの二人がついてくるということはコナン君は本当に沖矢さんに懐いているわけで……

小学生の皮を被った高校生が懐く理由とすれば、コナン君の正体を知っているか、もしくはあの真っ黒黒すけの組織と沖矢さんが関係あるからか……

と、コナン知識の初心者が色々考えても分かるはずがなく、だからこそ置いておくのだ。

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