ハニートラップはお断り【名探偵コナン】 (ページ13)

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第十二話ページ13

流石は漫画の世界…
と前にも思ったことをまた思っていればコナン君に呼ばれカウンター席に案内された。

二人なのだからボックス席の方がいいのでは？と思ったが安室さんにもどうぞと言われそこを指摘する時間を与えられず、指定された席につく。

するとすぐさま安室さんがどうぞ、とお冷とメニューを出してくれる。
仕事もよくできるのか…

……でもポアロにこんな人いただろうか。
私が見ていた頃は梓さんしか見たことなかったけど……。

まあいいか。

赤井さんが死んで以来コナンを見ていなかった私が分かるはずもないと思いメニューに目線を移す。

喫茶店と書いてあるがメニューには夕食になりそうなパスタ類もあり、パスタにしようかなと思っていると隣のコナン君から声がかかった。

「ここのね、安室さんが作るハムサンドがすっごく美味しいんだよ！」

「へ～、そうなんだ。」

と言いながら安室さんに目を向けると彼は恐縮ですと言わんばかりにすこし困り顔で微笑む。

うっ……

またもやイケメンパワーにやられそうになる前にまたコナン君に目線を戻す。

「じゃあ、今度また食べにこようかな！
とりあえず今日は……ボロネーゼ、お願いします。飲み物は…ウーロン茶で！コナン君はどうする？」
「じゃあ僕も桜お姉さんと同じのにする！」

そういって無邪気に笑うコナン君に、私はもう彼が中身高校生だという事実にふたをして素直に癒されることにした。

じゃあそれで、と安室さんに言えば安室さんはかしこまりましたと常套句を告げ作業に入る。

「桜さん、というのですね。」

作業に入ったかと思った彼からの突然の質問に思わずえ、と声を漏らす。

「あ、いえ、すみません。まだお名前を伺ってなかったものですから…」

そう申し訳がなさそうに笑う彼に、とんでもないと両手を体の前で振る。

「あ、こちらこそすみません！安室さんのお名前を聞いたのにこっちはまだ教えてなくて！！

はい、染井桜といいます。よろしくお願いします。」

そうこっちも申し訳なさそうに言えば、桜さんですね。とまた微笑まれ思わずドキッとする。

いくら偽名でも男性に下の名前で呼ばれるなんて……
しかもとびっきりのイケメンに

いきなりこの世界に飛ばされた時はなんで私がこんな目に……なんて思っていたが、こんな得する目なら大歓迎かもしれない。
なんて単純な私は浮かれるのであった。