ハニートラップはお断り【名探偵コナン】 (ページ12)

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第十一話ページ12

無事送り届けコナン君にさよならを言おうとすると、一向に手を放す気がないコナン君にどうしたの？と問いかける。

「桜お姉さんホテル暮らしだって言ってたよね？じゃあ僕と一緒に夕ご飯食べようよ！
僕今日一人なんだ～…だから寂しくて……」

くっ…
いくら中身があの高校生だと分かっていてもこの寂しそうな顔には誰も勝てないだろう。

流石大女優の息子……

「わ～い！ここのポアロってお店がね！すっごい美味しいんだよ！」

彼の提案に承諾すれば半ば強引にポアロのドアの前まで手を引かれた。
ドアまでたどり着けば彼はやっと手を放し、その小さな両手でオープンの看板がぶら下がっているドアを開けた。

開けた瞬間コーヒーのいい匂いがして思わず顔がほころぶ。

「いらっしゃい…ま……せ…」

なんだか歯切れの悪い挨拶に不審を抱き、店員さんの方に目をやれば、これまたとんだ褐色肌のイケメン店員さんと目が合い思わずドキッとしてしまう。

だ、だからなんでこの世界はモブキャラがこんなにカッコいいの！！！

何故か目を見開いている彼の表情など気にせず私はそのイケメンパワーにやられ思わずコナン君に目線をずらす。

「こんにちは安室さん。
……あれ、もしかして安室さんの知り合いだった？」

しかし主人公の彼がそんな彼の異変を見逃すわけがなく、間入れず質問していく。

その言葉に私は慌てて否定の言葉を返す。

「え、いや！全然！知り合いじゃないよ。はじめましてだよ。」

質問された安室さんという人ではなく私から否定の答えを受け取った彼はそうなの？と返しながらもどこか難しい顔をする。

いや、コナン君、こんなイケメンと知り合いだなんてないない。

でもとりあえず何か考えているコナン君は放っておいて、コナン君とは知り合いらしい店員さんに挨拶しなければ。

「はじめまして。コナン君がここのお店が美味しいんだと教えてもらって……」

そう少し微笑みながら言えば、店員さんははっとして笑顔を作った。

「すみません、見たことがない方だったのでつい驚いてしまって…
コナン君の紹介でしたか。今ちょうどお客様がいないので是非ゆっくりしていってください。

あ、申し遅れました。安室、透、と申します。以後お見知りおきを……」

そう素敵なさわやかスマイルで挨拶する彼になんて紳士的なのだろうと感動する。
今までここまでできた男性を見たことがあるだろうか…あ、沖矢さんも紳士的だった。