ハニートラップはお断り【名探偵コナン】 (ページ11)

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第十話ページ11

結局その日も見つからなかった。

しかも途中で沖矢さんは用事があるとかで先に帰ってしまい、後半はコナン君と二人で探すはめに……

どこか疑いの目で見てくる彼におびえながら私は今日も必死に黒猫を探した訳だが、見事に今日も収穫ナシであった。

「シロ、今日も見つからなかったね……」

「そうだね…、ごめんね、今日もありがとう。」

あ、シロというのは私がとっさに考えた猫の名前だ。

コナン君が飼い猫なら名前を呼んだ方がいいのでは？と提案してきた時にとっさについた嘘の名前。

猫なのにシロ。
黒なのにシロ。

その名前を聞いたとき、コナン君と沖矢さんが目を丸くしたのを今でも鮮明に覚えている。

いや、私だってなんてバカな名前をつけてしまったのだろうと思う。
でもとっさに出てきたのがシロなのだから許して欲しい。

とにかく、もうすぐ日が暮れる。
コナン君も一応身なりは小学生なので早く返さなければ。

そう思い、コナン君のおうちまで送っていくねと言えば彼は素敵な笑顔でうん！と元気に返事をし、私に手を伸ばしてくるのだ。

こうして手を繋ぎながら何回テレビでみたであろう毛利探偵事務所の前までつく。

実は送っていったのは今日が初めてで、それまでは最後まで沖矢さんがいたので送っていかなくても平気だろうと思っていたのだが、今日はいないので仕方がない。

道が分からない私にコナン君は手をひいて案内してくれる。

途中、お姉さんはこの町の人じゃないんだね。なんていうものだから冷や汗が止まらなかった。

そう聞いてきた彼の目があの疑う目で、まるで何もかも見透かされているような気がして。

そこで私は実はあの猫は拾い猫で、元々この辺りを縄張りにしていたと嘘をついた。

これなら私がこの辺りに住んでいなくてもこの辺りを探していることに矛盾はない。
我ながらまたまたいい案だったと思う。

そういうとコナン君はそっか…と言ってまたあの猫かぶりの顔に戻った。

・・・やっぱコナン君は鋭い。

すこし主人公に恐怖を感じながらもその後はコナン君がこの米花町について色々話してくれていたので話が途切れることはなく、無事毛利探偵事務所までたどりついた訳だ。