7 不穏〈ﾗｲﾅｰside〉 ページ7
「…他に…言いたい事があるんじゃねぇのか？」
ポルコの言葉に、何も返す事が出来なかった。
言いたいことはある。
俺もAが好きだと…
お前との結婚など認められないと…
だが…どの口がそんな偉そうな事を言える？
ポルコの兄であるマルセルは、俺のせいで死んだ。
助けようともせずに、ただただ恐怖で逃げ出した。
特に何かを言われなくたって分かっている。
ポルコは兄のマルセルを尊敬していたし、慕ってもいた。
マルセルの訃報を聞いた時のポルコの俺に対する怒りや、その場に自分が居られなかった悔しさ、ぶつけどころのない憤りは想像に難くない。
「本当に、何もないのか？」
「あぁ…お前達の幸せを祈るよ」
「……。」
ポルコへの負い目は自分の本音に蓋をすることで、少なくとも俺の中では贖罪となった。
そんな勝手な自己満足に、ポルコが納得するはずもない。
口をつぐんだ俺を見据え、不満そうにしかめた顔で「帰るぞ」と、ドアを開けた。
素直についていく俺を振り返る事はなかったが、収容区の門前にさしかかったところで、ほんの少しだけ目線が俺に向けられた。
その理由はすぐに姿を現した。
「ライナー！」
ポルコの肩越しに見えた可愛い女の子が、夕陽にも負けない眩しすぎる笑顔で俺の名前を呼んだ事でピンときた。
「A…」
「ライナー…久しぶり…だね…」
「……。」
強張る俺とは正反対に、再会に喜ぶAは絶えず、はにかんだ愛らしい笑顔を浮かべていた。
その笑顔に見つめられていると、自分が酷く汚らわしい存在である事を鮮明に実感させられて、Aを直視出来なくなった。
俺が人道に外れた、それこそ悪魔の所業をあの島に住む人達にしてきた事を知らないから、そんな綺麗な笑顔を俺に向けていられるんだ。
この５年間で俺がやったことをAが知ったら…
その上、俺は今、軍の中であまりにも危うい立場に立たされている。
戦士でも軍関係者でもないAを、俺の不穏な状況に巻き込みたくない。
「俺には…関わらないでくれ」
視線を合わせることなく、冷たく突き放すのが精一杯だった。
温もりを求めてはいけない。
振り返らずに進み続ける。
それが今、俺がAに出来る事のすべてだった。
５年前の…『何も知らなかった』俺には戻れない。
あの島に住んでいるのは、世界に害をなす残虐非道な悪魔だと無条件で信じているこの国の住人には、俺の思いは伝わらないだろう。
受け入れられるはずがない。
頑なに自分達は悪魔ではないと信じていた、かつての俺自身と同様に…
*
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夢梨(プロフ) - sato711825さん» コメントありがとうございます！意外とポルコ推しさんがいてくれてほっとしています。場面が思いついたら更新していますので、お付き合いいただけると嬉しいです(*´∀`)♪ (2021年4月22日 16時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
sato711825(プロフ) - 続きが見たいでえええす！！！！ポルコ推しなので私得ですっ！ (2021年4月21日 1時) (レス) id: 2b67c28291 (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - Ronnyさん» コメントありがとうございます！ライナー好きさんがいてくれて安堵しました(*´ω｀*)頭の中に浮かんでいる言葉や場面をまとめるのに時間がかかりますし、期待に応えられるか自信もありませんが、何とか読者様が没入できるお話を書きたいと思います(*^^*)♪ (2021年4月11日 15時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
Ronny(プロフ) - あああああああどうなるんだ!!!!ポルコもライナーも好きだからつらいw次の更新も楽しみに待ってます! (2021年4月10日 23時) (レス) id: d499d51969 (このIDを非表示/違反報告)
mitsuyuu0907(プロフ) - 夢梨さん» お返事ありがとうございます。そうです。ポルコ落ちのお話を作っていただきたいです！本当にポルコの夢小説少なくてポルコ不足なんですよね_(´-`_ _)_よろしくお願いします！ (2021年4月5日 21時) (レス) id: a8ac705c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢梨 | 作成日時：2021年1月16日 19時
