33 喪失〈ﾎﾟﾙｺside〉 ページ31
俺は、一体何を見せられているんだ…？
この４年間、逢いたくて想い焦がれていた恋人が、目の前で他の男に抱きしめられながら濃厚な口づけを交わしている。
「A…？」
愛しい女の名前を呼ぶ、たったそれだけで喉がカラカラに渇く。
俺の呟きのような呼びかけに、軍の高官であるハーマー文官長は俺に視線を流すと、
見せつけるように艶かしく何度か啄み、リップ音を鳴らしてようやくAの唇を解放した。
Aから情欲に満ちた吐息が小さく漏れ、熱を帯びた目をつぶり、ハーマー文官長の胸に頬を擦り寄せて腕に身を委ねていた。
「見て分かるだろう？ 彼女は既に俺のものだ」
「は…？」
「今後、許可無くAに接触する事は禁止する」
「なん…だと…？」
何をバカなことを！ 俺はAの婚約者だぞ！
はいそうですか、と簡単に引き下がれる訳ねぇだろ！
「Aが承諾したとは思えねぇ。婚約者は俺だ」
「あぁ確かに『そうだった』な。…だが、Aは４年も前の事だから忘れたと…そう言っていたぞ」
「Aがそんな事、言うわけねぇだろ！ 嘘つくんじゃねぇ！」
「では、確かめてみるか？」
ハーマー文官長はそう言って、Aを抱きしめていた腕を解く。
「A、婚約者が迎えに来た。ガリアードの傍に戻りたければ戻っていい」
「……。」
Aが『奉仕』を強要する奴と一緒に居たいはずがねぇ。
けど…
ハーマー文官長から告げられた言葉でAは俺に軽く視線を投げ、だがすぐに文官長の胸に顔を埋めてしがみつき、無言で数回、頭を横に振った。
「え…」
「だ、そうだが…どうする？ ガリアード」
ハーマー文官長が再び、Aの腰に腕を回して引き寄せ、愛しそうにAの髪に口づけを落とした。
その光景に肌がざわめくほどの怒りが込み上げ、
「A…ッ…何でだよ！」
「ごめんね…ポルコ…」
「は？…なんだよ、それ…どういう意味だよ！説明しろ！」
「ぁ…ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ…ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ…ｺﾞﾒﾝﾅｻｲ――」
嫉妬と怒りに任せて叫ぶと、ﾋﾞｸｯと肩を弾ませ、怯えた表情で謝罪の言葉を繰り返すAに違和感を覚えた。
コイツは、本当にAなのか…？
俺の知っているAはもっと明朗快活で、華やかに笑う愛らしい女だった。
そういえば、再会した瞬間から今のこの時まで、まだ一度もAの笑顔を見ていない。
ほんの少しの微笑みさえも…
澄みきった青空を飛ぶ小鳥のような爽やかで愛らしい声も、薄暗い森の沼底に沈んだかのように聞き取りにくいボソボソと呟く小さな声だった。
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夢梨(プロフ) - sato711825さん» コメントありがとうございます！意外とポルコ推しさんがいてくれてほっとしています。場面が思いついたら更新していますので、お付き合いいただけると嬉しいです(*´∀`)♪ (2021年4月22日 16時) (
レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
sato711825(プロフ) - 続きが見たいでえええす！！！！ポルコ推しなので私得ですっ！ (2021年4月21日 1時) (レス) id: 2b67c28291 (このIDを非表示/違反報告)
夢梨(プロフ) - Ronnyさん» コメントありがとうございます！ライナー好きさんがいてくれて安堵しました(*´ω｀*)頭の中に浮かんでいる言葉や場面をまとめるのに時間がかかりますし、期待に応えられるか自信もありませんが、何とか読者様が没入できるお話を書きたいと思います(*^^*)♪ (2021年4月11日 15時) (レス) id: 2fea8fb6ab (このIDを非表示/違反報告)
Ronny(プロフ) - あああああああどうなるんだ!!!!ポルコもライナーも好きだからつらいw次の更新も楽しみに待ってます! (2021年4月10日 23時) (レス) id: d499d51969 (このIDを非表示/違反報告)
mitsuyuu0907(プロフ) - 夢梨さん» お返事ありがとうございます。そうです。ポルコ落ちのお話を作っていただきたいです！本当にポルコの夢小説少なくてポルコ不足なんですよね_(´-`_ _)_よろしくお願いします！ (2021年4月5日 21時) (レス) id: a8ac705c71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夢梨 | 作成日時：2021年1月16日 19時
